高い信頼性、耐久性、悪路走破性の証。トヨタの"陸の巡洋艦"が累計販売台数1000万台を突破

グローバルで高い人気を誇るトヨタのクロスカントリーモデル「ランドクルーザー」シリーズが累計販売台数1000万台超を達成!

 トヨタ自動車は9月20日、ランドクルーザー・シリーズのグローバル累計販売台数が本年8月末までに1000万台を超える1001万5000台に達したと発表した。

ランドクルーザー販売台数.jpg

▲年間販売台数の推移(単位:左・年間/右・累計販売台数・万台/下・西暦年)

 メーカー自らが「行きたいときに、行きたいところに行って、必ず帰って来られる」世界一ではなく唯一無二の存在、と謳う"陸の巡洋艦"ことランドクルーザー。その出発点は、いまから69年前の1950年にまで遡る。同年8月に警察予備隊令が公布・施行され、日本で警察予備隊が活動を始める。その人員移動および物資輸送に際し、同隊はジープタイプの全輪駆動車の開発を各自動車メーカーに要望する。具体的な回答策を打ち出したのは、トヨタ自動車工業と日産自動車、そして中日本重工業(後に新三菱重工業に改称)だった。

BJ.jpg▲トヨタ・ランドクルーザーの原点であるトヨタ・ジープBJ195181日に発売。全長×全幅×全高3793×1575×1900mm ホイールベース2400mm 車重1425kg 搭載エンジンはB3386㏄直列6気筒OHV85ps

 トヨタ自工は、既存のトラックのSB型フレームをベースに改良を施し、そこにジープタイプのボディを架装する。完成したトヨタ版ジープはBJの型式を付け、車名には「トヨタ・ジープBJ」と冠した。日産自動車もトラックの機構を改良したジープタイプの全輪駆動車を開発する。完成したモデルは4W60の型式を付け、車名は「ニッサン・パトロール」を名乗った。一方の中日本重工業は、別の戦略に打って出る。ジープの本家であるアメリカのウイリスオーバーランド社と技術提携し、ノックダウン生産の形で警察予備隊の要望に応えようとしたのだ。ちなみに、この提携の背景には当時のアメリカ駐留軍が朝鮮戦争で必要なジープを効率的に調達できるようにするという意図もあった。中日本重工業は名古屋製作所において、ウイリス製の「CJ」(シビリアン・ジープ)を組み立てる。

 3社のジープタイプの全輪駆動車は、警察予備隊を所管する国家警察本部で運用試験が実施される。結果として警察予備隊に採用されたのは、「ジープCJ」だった。トヨタと日産の全輪駆動車は動力性能で勝っていたものの、駐留軍のジープとの部品共用性や整備知識面などから、CJが選択されたのである。

 選から漏れたトヨタ・ジープBJだったが、その多用途性は官公庁や国家地方警察本部などから高く評価され、路線を変更して警察車両や消防車両として活用されることとなる。そして、1951年8月1日に発売。1954年6月には、車名を独自の「ランドクルーザー(LAND CRUISER)」に改称する。そして、1955年11月に市場デビューを果たした20系からは本格的な輸出をスタート。以降、ランドクルーザーの開発思想である「信頼性、耐久性、悪路走破性」を犠牲にせず、ユーザーのニーズに応えるクルマづくりを一貫して続けることにより、クローバルマーケットで多くの支持を獲得していった。当初、年間100台にも満たなかった輸出台数は、10年後の1965年には1万台を突破。現在では約170の国と地域で販売し、年間グローバル販売台数は約40万台にのぼる。

 販売台数の伸長とともに、ランドクルーザーはグローバルでトヨタ・ブランドの信頼性を高めることに大きく貢献し、トヨタの輸出市場拡大の足掛かりとなる。また、その信頼性や耐久性の高さなどから、製造から50年以上経ったランドクルーザー40系が、未だに現役で活躍している地域も存在する。もちろん、以降の車種、ヘビーデューティモデルでは70系、ステーションワゴンモデルでは55系・60系・80系・100系・200系、ライトデューティモデルでは70系ワゴン・70系プラド・90系プラド・120系プラド・150系プラド、プレミアムモデルではレクサスLX450・470・570やGX470・460などが、世界中のユーザーから愛用され続けている。

ランドクルーザー40系・UAE漁村.jpg▲製造から50年以上経ったランドクルーザー40系がアラブ首長国連邦(UAE)の漁村で現役で活躍する

 アフリカのブルンジでは、マラリアに罹った子供を病院に移送したり、ウガンダの難民キャンプでは診療所に患者を運んだり、人道支援の面でランドクルーザーが活躍。また、オーストラリアでは亜鉛や銅鉱山の地下1600メートルの坑内の移動車として、さらに兵庫県とほぼ同じ広さを持つ広大な牛放牧牧場で牛の追い込みに使われる。そして、中米コスタリカでは標高3500メートルの人が立つのもやっとという急斜面でニンジンの収穫の足として活用。ランドクルーザーがないと生活が成り立たない場所が、地球上にはまだまだたくさん存在している。

ランドクルーザー・コスタリカ収穫.jpg▲中米コスタリカでは標高3500メートルの人が立つのもやっとという急斜面でニンジンの収穫の足としてランクルを活用

 トヨタ自動車は、ランドクルーザーの68年の歴史を「トヨタQDR(Quality:品質、Durability:耐久性、Reliability:信頼性)の象徴であると同時に、"世のため、人のため"というクルマづくりの原点」であると解説する。仕事、生活を営むための心強い相棒として、「人の命や物を運び、移動の夢を叶える」クルマ、「行きたいときに、行きたいところに行って、必ず帰って来られる」クルマ、それがランドクルーザーの真骨頂なのだ。

 最後に、これから先のランドクルーザーに対するトヨタ自動車の意欲あふれるコメントを紹介しよう。「今後もランドクルーザー開発では、お客様の期待に応え、さらに期待を超えていくために、世界中のあらゆる道で使われることを想定し、かつ最も厳しい基準を自らに課し、唯一無二の存在を目指したクルマづくりを続けてまいります」。

Follow