株式会社ブリヂストンは、ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初のポリマーの名称を、「SUSYM」に決定したと発表した。これにより、「SUSYM」の認知拡大を図り、次世代ポリマー素材として応用することを通じて、タイヤ材料としての枠組みを超えた多様な分野への貢献を目指す。
▲ゴムと樹脂を分子レベルで結び付けた 世界初のポリマーの新名称が「SUSYM™(サシム)」に決定
「SUSYM」は、ブリヂストンが2018年5月に発表した「High Strength Rubber※1」をさらに進化させたものだ。従来のゴムよりも高強度・高耐久であるとともに、(1)穴が開きにくい(耐突き刺し性)、(2)治る(再生・修復性)、(3)低温でも強い(低温耐衝撃性)などの性能が飛躍的に向上している。
この3つの性能において、ゴムのしなやかさと樹脂の強さを両立しながら、それぞれの特性を自在に引き出すことができ、タイヤ以外の様々な分野への親和性が高く、実社会との共生(Symbiosis)可能な革新的な材料であるとブリヂストンは考えている。また、従来のゴムより高強度・高耐久のため、より少ない材料使用量でタイヤに求められる様々な性能を達成可能であることや、再生可能であるため、環境調和(Symphony)型の新素材として持続可能な社会(Sustainable)へ貢献していくことが期待されている。
「SUSYM」の名称は、これらの期待を込めて、Sustain(持続させる)、Symphony(調和)、Symbiosis(共生)より造られている。今後この素材が社会において期待されることと結び付けた名称とすることで、認知拡大を図っていく。
ブリヂストンは、今後この独自技術の成果を様々な分野、多くの企業・団体と連携しながら研究・開発をすすめ、「SUSYM」の素材としての無限の可能性を訴求を目指すべく、23日から始まる「第46回東京モーターショー2019」では、「SUSYM」の様々な機能や素材を活かしたコンセプトタイヤを展示し、プレスカンファレンスでは「SUSYM」の概要説明を行う。この機会を通じてより多く「SUSYM」を理解してもらい、更なるイノベーションの促進につなげていきたい、としている。
「SUSYM」紹介(動画)より、「SUSYM」の特徴の概要を説明する。
▲(「SUSYM」紹介動画より)従来のゴムは釘で簡単に穴が開いてしまいます。
▲(「SUSYM」紹介動画より)一方、SUSYMはゴムの伸びと樹脂の強さを併せ持つため、穴が開くことはありません、
▲(「SUSYM」紹介動画より)局所的に力が加わっても壊れにくい、高強度なゴム材料としてタイヤ以外にも様々な用途が期待されます。
(1) 穴が開きにくい(耐突き刺し性)
局所的に強い力を加えて変形させても壊れにくく、高強度なゴム材料や、タイヤ材料以外にも様々な用途が期待される。
▲(「SUSYM」紹介動画より)SUSYMはたとえ穴が開いても
▲(「SUSYM」紹介動画より)熱を加えると簡単に穴を治すことができます。
▲(「SUSYM」紹介動画より)このように引っ張っても切れないぐらいに修復できていることが分かります。
(2) 治る(再生・修復性)
穴が開いてしまった場合でも、熱を加えると簡単に穴を治すことが可能だ。一度壊れても何度でも再生可能な新たなゴム素材としての活用が期待される。
▲従来のゴムは液体窒素で凍らせるような低温状態では、硬く、脆くなることが知られており、叩くと簡単に壊れてしまいます。
▲(「SUSYM」紹介動画より)しかし、SUSYMの場合、同じように叩いても、壊れることはありません。
(3) 低温でも強い(低温耐衝撃性)
従来のゴムは、低温環境下では硬く脆くなってしまうため、叩くと簡単に壊れてしまう性質があった。一方、「SUSYM」は低温でもしなやかさを保つことができるため、叩いても壊れにくくなっている。これにより、「SUSYM」は低温で使用される素材として役立つ可能性がある。
※1 高分子複合体の新合成技術により世界初のポリマー開発に成功
https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2018051702.html