日産は、 年末年始の帰省や旅行での長距離移動が増える季節に先がけて、高速道路の運転に苦手意識を抱えるドライバーに、苦手な理由や高速道路運転時の意識に関する調査を実施しました。本ページはその結果をもとに考察し、克服の鍵を交通コメンテーターで運転のエキスパートでもある西村直人さんにまとめていただいたものです。
▲4人に1人が高速道路が苦手だった!?
「高速道路ナーバス実態調査」として2019年10月12日~10月15日にかけて18歳以上の自動車免許保有している830人を対象にインターネットで全国に向けて調査を行いました。その結果、運転免許取得者の中でおよそ4人に1人が高速道路の運転に苦手意識を抱える「高速道路ナーバス」であることが判明。また、高速道路ナーバスの人の5人に2人が「なるべく一般道を利用するようになった」ということもわかってきました。
▲高速道路の運転に苦手意識を抱える人のうち5人に2人が「なるべく一般道を利用するようになった」と回答
▲毎週運転する"ベテランドライバー"でさえも6人に1人(16.7%)が苦手と感じていることが判明
「高速道路の運転が苦手と感じるようになったタイミング」について尋ねると、約4割の人が「運転免許取得後から一年以内」と回答。そして、「運転免許取得時から10年以上後」と答え、運転歴が長いにもかかわらず、苦手と感じるようになった人も約4割いることが判明しました。
▲苦手なポイントの第1位は「車が頻繁に合流する道(ジャンクションやインターチェンジ)」
▲走行中に苦手なことは「車線変更」と答えた人が半数以上
高速道路ナーバスの人が苦手と感じる高速道路のポイントは、6割以上の人が「車が頻繁に合流する道(ジャンクションやインターチェンジ)」と回答。また、「高速道路の走行中に苦手だと感じること」を尋ねると、半数以上の人が「車線変更」と答えました。
▲約半数が、恋人や配偶者の同乗に苦手意識あり
「高速道路の運転時、誰を乗せた時に苦手と感じるか」とたずねたところ、「同乗者の有無に関わらない」という意見を除くと、最も多かったのは、恋人や配偶者で、約2人に1人となりました。その理由としては、41.8%の人が「運転について注意(評価)されるのが嫌い」と回答。
▲高速道路ナーバスの2人に1人は「利用後に大きな疲労感」
▲高速道路ナーバスの2人に1人は「意識して利用しなくなった」という人も、4人に1人いることが明らかに
さらに、高速道路ナーバスの半数以上が「高速道路の利用後に大きな疲労感を感じるようになった」ことがわかりました。そして、4割以上の人は「高速道路の利用時に、ときどき恐怖心を感じるようになった」と回答。結果として、高速道路ナーバスの5人に2人は「なるべく一般道を利用するようになった」と答えています。また、約4人に1人は「高速道路を意識して利用しなくなった」ことも明らかになりました。
▲高速道路ナーバスの約6割が苦手意識を克服したい
そして、高速道路ナーバスの人のうち、60.5%の人が「苦手意識を克服したい」と答えました。
❼ 8割以上が「運転支援技術が搭載されたクルマに期待している」と回答
追い越し時や出口ICへ向かう際の車線変更のアシスト、指定した速度の維持、速度を調整して車間を維持するなどの特徴を持つ「運転支援技術への期待」についてたずねたところ、高速道路ナーバスの82.9%が「期待している」と回答。
▲「車線変更」をアシストする技術に対しては、91.6%が期待していると回答
▲約8割が運転支援技術が搭載されたクルマであれば「克服できると思う」と回答
また、高速道路ナーバスの人が最も苦手と感じる「車線変更」をアシストする技術に対しては、91.6%が期待していると回答。
そして、高速道路ナーバスを克服したいと思っている人のうち、約8割( 79.9 %)が運転支援技術が搭載されたクルマであれば「克服できると思う」と答えました。今後の運転支援技術搭載のクルマに対して期待が高まっていることがわかる結果となりました。
▲「#高速道路ナーバス」を解説。すぐに実践できるコツを紹介
「脱・高速道路ナーバス」には「速度をなるべく一定に保つこと」と「ハンドル操作(ステアリング)をゆっくり行うこと」が鍵
今回の調査結果では、「きっかけなく最初から高速道路が苦手」とするドライバーが59.4%いることが判明しました。興味深いことに回答頂いた830名のドライバーのうち運転免許証を取得して1年以内の方が37.7%、取得後10年以上経過した方が37.1%、それ以外の方が25.2%とあまり偏りがみられません。つまり、運転経験に関係なく高速道路に対する苦手意識が抱かれていることがわかりました。
苦手意識が抱かれる理由は主に走行速度の高さ、それによる身体疲労、車線変更
苦手意識が抱かれる理由のひとつは走行速度の高さです。ご存知のとおり高速道路は一般道と比べ法で定められた最高速度が高く100 ㎞/h(一部区間は試験的に120㎞/h)と一般道から1.6~2倍程度にまで高まります。走行速度が高まるとクルマへの物理的な影響もそれだけ大きくなり、ドライバーとしてもより慎重な運転操作を心がけることから、時として神経質な状態に陥りやすく身体的な疲労も増加傾向に......。また、車線変更にしてもタイミングを計ることが難しくなることから苦手とするドライバーが多いようです。
すぐに実践できるコツは?
運転経験に関係なく明日から実践できるポイントは二つあります。一つ目は、速度をなるべく一定に保つことです。高速道路では一般道と比較して道が広く、建物などが視界に入りづらいです。そのため、速度感覚が鈍り、知らずに速度が落ちてしまうことがあります。スピードメーターで確認し、一定の間隔で運転することが大切です。
二つ目は、ハンドル操作(ステアリング)をゆっくり行うことです。カーブの曲がり始めや車線変更を行う際の操作をゆっくりと行うことがポイントです。目安として、車線変更では法規にならい、ハンドルを切り始める少なくとも3秒前にはウインカーを出します。その後、「カチ、カチ」というウインカーの作動音を5〜6回確認できるようにゆとりをもって車線変更の運転操作を行います。こうすることで、車が安定したまま車線変更でき、さらに同乗者も安心して身を委ねられます。
身体的な疲労を軽減、苦手意識を和らげてくれる効果がある"運転支援システム"
運転支援システムにはそうした身体的な疲労を軽減し、苦手意識を和らげてくれる効果があります。2016年8月に「セレナ」から実装が始まったプロパイロットではアダプティブ・クルーズ・コントロールと車線維持機能を組み合わせた運転支援を、そして新型「スカイライン」に実装されたプロパイロット 2.0では一歩進み、新たに3D高精度地図データなどを活用しナビルートと連動した車線変更を支援してくれます。また、道路や運転状況など決められた条件が整うとステアリングから手が放せるほどの高い精度で車線維持機能を働かせることもできます。
▲新型スカイラインには運転支援技術「プロパイロット 2.0」が搭載されている
ドライバーの"苦手"をサポートする「追い越し支援機能」と「車線変更支援機能」
「追い越し支援機能」とは、ナビ連動ルート走行中、同一車線上に自車設定速度よりも遅い車両がいる場合に追い越しにまつわる運転操作の支援をしてくれる機能です。まず、追い越し可能な状況になるとシステムがドライバーにディスプレイ表示で知らせてくれます。このとき、ドライバーがステアリングに手を添えてスイッチ操作を行なうとウインカーが点滅し自車周囲の安全を車載センサーにより確認した上で自動車線変更が行われます。そして、追い越しが終わると安全な車間距離が保たれた時点で同じくドライバーに知らされ、同様の操作を行うことで元の車線に戻ることができます。
また、「車線変更支援機能」は、ナビ連動ルート走行中であれば道路の分岐支援を行なうことも可能です。日産のプロパイロット 2.0に用いられた先進運転支援システムは、SAEレベル2(部分運転自動化)に属していて、将来的な自律自動運転を構成する要素技術としても重要視されています。今後、ドライバーがこのような運転支援技術を使うことによって、高速道路の運転に対する苦手意識を和らげると同時に、運転に対する過信を遠ざけ、結果的に技術の正しい普及も後押しします。
▲西村直人/にしむらなおと
■プロフィール
1972年1月東京生まれ。
専門分野は自律自動運転と先進安全技術、そしてパーソナルモビリティ。広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪のアマチュアレースにも参戦中。大型トラックやバス、トレーラーの開発ドライバー職の経験を活かしてハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。
日産の「ゼロ・フェイタリティ」への取り組み
「脱・高速道路ナーバス」の取り組みは、技術の日産が目標として掲げる「ゼロ・フェイタリティ※」 社会の実現を目指す活動の一環として発信しています。自身の高速道路の運転を今一度振り返るきっかけを持っていただき、年末年始の帰省や旅行での長距離移動が増える季節を安心・安全に過ごしていただきたいという思いを込めています。日産はこれからも「脱・高速道路ナーバス」に向けた取り組み企画してまいります。
*4 日産車がかかわる交通事故による死亡・重傷者数ゼロ。