コンチネンタルが開発した高性能コンピューター:新車載アプリケーションサーバー「ICAS1」(アイキャスワン)が、フォルクスワーゲン社の次世代電気自動車「ID.」に量産が開始されることとなった。
▲フォルクスワーゲンの新電動車「ID.」にコンチネンタル製新型高性能コンピューター「ICAS1」が採用
フォルクスワーゲンID.3は、自社が開発した共通プラットフォームのモジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス(MEB)を使った最初の市販モデルだ。燃費基準WLTPモードにおいて、330~550kmの航続を実現し、比較的リーズナブルな価格で2020年に市場に投入されると噂される。
▲コンチネンタル ICAS1
コンチネンタルの革新的なICAS1のコンセプトには多くのメリットがある。たとえば、新機能や安全に関する最新情報を無線接続で車両にインストールする機能など、多岐にわたる車両接続機能が提供される。このサーバーは、コンチネンタルの長年にわたるゲートウェイ制御ユニットの開発経験を基礎としており、現在その機能は極めて包括的なICAS1にも組み込まれている。サーバーの概念的枠組みは、コンチネンタルがエレクトロビット(Elektrobit)と共同で開発した高性能コンピュータープラットフォームだ。
「ICAS1がフォルクスワーゲンですでに量産段階に入っていることは、大きな成果と言えます。これは、今後の高性能電子アーキテクチャ開発における新たな時代の幕開けを意味するだけでなく、私たちがICAS1によってデジタル転換へのマイルストーンを達成できたことに大きな意義があります」と、コンチネンタルの取締役でインテリア部門の責任者を務めるヘルムート・マッチはコメントした。
「新しいサーバーアーキテクチャの優れた性能により車両機能は今後さらにシンプルかつ迅速に最新の状態にアップデートできます。当社はこのように車両の高機能化と快適性の向上に寄与しながら、同時に今後クルマがIoE(Internet of Everything)の一部となってゆくことに資しているのです。」
▲完全な電気自動車、完全なコネクテッドカーを実現する高性能コンピューター
コンチネンタルは、フォルクスワーゲンのEV化戦略に向けた「サーバーアーキテクチャ」への転換は理に適っているといえると考えている。電気自動車はとりわけ、サーバーアーキテクチャがもたらすクルマの完全デジタル化によって多くの恩恵を受ける。これには、航続距離を最適化するルート計画や充電スタンドの位置探索といった機能も含まれ、同時にモバイルサービスやデータなどデジタル世界へのシームレスな接続をもたらす。
「ICAS1は、従来のゲートウェイ機能に加え、車体制御ドメインの機能も総合的にカバーします。また、OTAによる無線アップデートだけでなくバッテリーの充電管理の制御もおこないます」。こう説明するのは、コンチネンタルのボディー&セキュリティおよびインフォテインメント&コネクティビティの両事業部長を務めるヨハン・ヒーブルだ。
ID.のモデルにもよるが、将来的には2、3台のサーバーが車両全体にコンピューティング能力を提供するようになるだろう。コンチネンタルは開発当初から、電気自動車の長寿命化に対応するようICAS1を設計してきた。
従来の車両システムと比べてはるかに強力なコンピューティング能力に加え、ICAS1はさらに、Adaptive AUTOSARを基にエレクトロビット社が開発した基本ソフトウェアを介してハードウェアとソフトウェアの一貫した分離を実現している。これにより、フォルクスワーゲンのアプリケーションとサードパーティーのソフトウェアの統合やアップデートがいずれも可能になり、さらにこのミドルウェアは、Gigabit Automotive Ethernet経由の接続もサポートしてアプリケーションに必要なデータスループットを提供する。
従来の車両システムと比べてはるかに強力なコンピューティング能力に加え、ICAS1はさらに、Adaptive AUTOSARを基にエレクトロビットが開発した基本ソフトウェアを介してハードウェアとソフトウェアの一貫した分離を実現している。これにより、フォルクスワーゲンのアプリケーションとサードパーティーのソフトウェアの統合やアップデートがいずれも可能になり、さらにこのミドルウェアは、Gigabit Automotive Ethernet経由の接続もサポートしてアプリケーションに必要なデータスループットを提供する。