アウディは、完全にCO2ニュートラルなプレミアムモビリティプロバイダーになることを目指すため、2022年半ばまでに約1億ユーロ(120億円)をかけて、自社サイトの駐車スペースの10%に充電器を設置する充電インフラプロジェクトを発表した。
▲2022年半ばまでにドイツの工場の駐車スペースの10%に充電器を設置
この独自の取り組みは、ドイツ企業が実施する充電インフラプロジェクトとしては最大のものだ。設置した充電ステーションの大部分を一般に開放すると同時に、アウディとしても充電インフラと管理に関する新ビジネスを試験的に運用することが可能となる。
アウディの発表によると、電気自動車の充電用に4,500以上の充電ポイントを設置する予定だという。ドイツ・インゴルシュタットの主要工場だけでも、最終的に設置される充電ポイントは3,500カ所に上り、ネッカーズルムには1,000カ所、ブリュッセルとジェールでも100カ所程度設置される予定だ。同様に、充電インフラは、メキシコのサンホセ チアパスの工場にも構築される。アウディはすでにミュンヘン空港のトレーニングセンターに相当な容量の充電ステーションを設置しているが、プロジェクト全体の総予算は、最大で1億ユーロに達するという。
▲プロジェクトチームは、全体的な戦略、投資、コンセプトの計画に責任を持ち、充電インフラの設営と運用に加え、アウディの拠点で充電した場合の課金処理も管理する。これに関連して、駐車場を使用する従業員やビジターのニーズに合わせて充電ポイントを拡張し、それに合わせて充電インフラを設計し、運用ルールを策定し、緊急対応窓口とサポートが提供される予定だ
これほどの規模の充電インフラ整備は、過去にドイツではほとんど例がなく、細心の準備と独立したエネルギー管理が必要だ。そのため別のプロジェクトチームが、2017年半ばから実施コンセプトの準備と構築を行っていた。すべての駐車スペースの10%を電動化するという基本的な決定は、1年前に行われ車両の生産が行われている場所で充電インフラを構築することは、大きなチャレンジとなる。
ブリュッセル、インゴルシュタット、ネッカーズルムのサイトでは、総電力21MWで充電インフラを構築することがすでに可能になっている。これは、人口14,000人の小さな町の電力消費量に相当し、充電インフラには、最大22kWの出力を備えた600の充電ポイントと、50〜350kWの出力を備えた60の直流充電ポイントが含まれる。2022年半ばまでに、工場の拠点のみで、最大22kWの出力を備えた4,500の充電ポイントに加え、最大350kWの出力を備えた50以上の充電ポイントが設置される予定だ。ダイナミックでインテリジェントな負荷管理システムが、各拠点を横断して電源入力を今年すでに管理しているため、電源接続ポイントを拡張する必要はない。
すでに設置されているミュンヘン空港にある3つのアウディトレーニングセンターの充電設備について、2.1MWの電源入力を備えたアウディ最大の充電パークは、この場所の電力網に接続されている。新しいATC IVビルの建設に関連して、太陽光システムで発電した電力は、蓄電装置と組み合わせることによって、電気自動車の充電に使用される。プロジェクトチームは、Googleマップに基づいて独自のナビゲーションマップも作成し、従業員が充電ターミナルを利用できるかどうかをリアルタイムで確認することができるシステムを構築している。オンラインシステムを介した請求書発行および社内決済システムへの統合も、重要なサービスであると語る。
中期的には、充電インフラを拡張する必要がある他の企業に対して、アウディが蓄積した専門知識をどのように活用できるようにするかを検討中だとしている。これは、純粋な自動車メーカーからモビリティサービスプロバイダーへと変革を目指すアウディにとって、次のステップとなりえるだろう。アウディは、遅くとも2050年までに、アウディの事業は完全なCO2ニュートラルになる予定だ。