2020年8月の中国新車販売は、218万6000台と、前年同月比11.6%と好調だった。中国は新型コロナウイルスからの「市場回復が急速に進む」と観測されていたが、マーケットはそのとおりの動きを見せている。
中国の新車販売の好調が続いている。中国汽車工業協会の発表によると、8月の新車販売台数は、商用車と輸出を含めて、218万6000台。前年同月比は11.6%増と、5カ月連続で前年実績を上回った。おまけに4カ月連続で2桁の伸び率だ。日米新車市場は、新型コロナウイルスの影響によるダウントレンドにあるが、中国新車市場は回復傾向にある。
8月の中国新車セールスを牽引したのは、商用車。前年同月比は41.6%増と、乗用車の同6%増と比較して、大きく伸びた。これは、中国政府による購入支援の効果。EVなどの新エネルギー車も、8月は前年同月比25.8%増と伸びた。これは前年同月実績が、補助金の削減の影響で落ち込んだ反動と見られる。
日系4社は8月、トヨタとホンダの2社が前年超え。日系メーカーの首位に立ったのは、トヨタだった。トヨタは16万4400台を販売し、8月としては過去最高をマークした。前年同月比は27.2%増と5カ月連続で前年実績を上回った。主力セダンのカローラと、その兄弟車のレビンが好調。トヨタは20年1~8月、中国で前年同期比4.3%増の108万3100台を売り上げた。
2位はホンダ。8月は新記録となる14万8636台を販売。前年同月比は19.7%増と、2カ月連続で増加した。シビックとCR-Vが、2万台以上を販売して牽引役に。シビックの販売台数2万台超えは、5月から4カ月連続となる。アコード、ヴェゼル、ブリーズ、クライダー、XR-Vの各車も、月販1万台超えを達成した。ハイブリッド車も好調をキープしている。アコード・ハイブリッドやCR-Vハイブリッド、オデッセイ・ハイブリッドなどが、合計で1万8452台を販売した。中でもアコード・ハイブリッドは、累計販売台数が10万台を超えている。ホンダは20年1~8月、前年同期比9%減の89万7289台を売り上げた。
3位は日産自動車。8月は12万6592台を販売し、前年同月比は2.4%減と、5カ月ぶりに前年実績を下回った。キャシュカイなどのSUVは全体で前年同月比8.6%増の3万4554台を売り上げた。セダン系では、19年7月に発売した新型シルフィが、同43%増の4万6688台と、8月の新記録を打ち立てた。新型アルティマは、同11.8%増の1万1693台を販売した。日産は20年1~8月で、前年同期比11.8%減の84万3879台を販売した。
マツダは1万7327台を売り上げ、前年同月比は2.3%のマイナスだった。アクセラ、CX-5、CX-4の3車が、主力モデル。アクセラが7268台、CX-4が3293台、CX-5が3044台を販売した。マツダは20年1~8月で、前年同期比6.2%減の13万2407台を販売した。
プレミアムブランドを見ると、スウェーデンのボルボカーズが8月、最大市場の中国で1万5835台を販売。前年同月比は11.4%増と、2桁の伸び率となった。引き続き、現地生産のXC60とセダンのS90が販売の中心。ボルボカーズは20年1~8月では9万5986台を売り上げ、前年同期比は1.5%増だった。
19年の中国新車販売は、商用車と輸出を含めて、2577万台だった。7年連続で2000万台を突破し、米国を上回り10年連続の世界一を達成しているが、前年比は8.2%減と2年連続で前年実績を下回った。中国の新車販売の拡大は一段落したと指摘する声もある中、年明けから新型コロナウイルスの感染が拡大。その影響を受け、20年1~8月実績は前年同期比9.7%減の1455万1000台にとどまっている。
中国では9月26日から10月5日かけて北京モーターショーを開催。10日間で約53万人が会場を訪れた。新型コロナウイルスの影響で、大半のモーターショーが中止された中、北京モーターショーにおいては多くの新型車が展示され、中国市場の成長に期待するメーカーの意気込みが現れていた。
新車効果によって、中国新車セールスの好調は、今後も持続するという意見が多くなってきた。