北米マツダが新型コロナウイルス感染に苦しむ米国で、心温まるキャンペーンを実施した(10月25日受付終了)。マツダ・ヒーローズと名付けたイベントの開催である。これは「人の精神を鼓舞する」というサブタイトルが付いており、新型コロナウイルスによる厳しい状況の中で、「人々に希望を与える人物」にMX-5ミアータの限定モデルを贈呈する、という内容だ。
このプログラムは、2020年を通じて自身を顧みず、コミュニティのために尽力した50名を選出する。マツダは今年創業100周年を迎えており、その記念として作られたのがマツダMX-5ミアータ100周年記念エディション。選ばれた50名にこのクルマが授与される。
北米マツダ社長、ジェフ・ガイトン氏は今回のプログラムについて「マツダは創業100年を迎え、このときをわれわれのファン、従業員、パートナーとともに祝いたいと考えていた。しかし2020年は人々にとって多くの悲劇をもたらした難しい1年になった。そこでわれわれは「世界をよりよくする」というマツダのメッセージを祝賀行事とは異なるかたちで表現するため、マツダ・ヒーローズを実施することにした」と語った。
マツダはこれまでにもヘルスケア従事者にはディーラーでオイル交換を無償で提供する、などの社会サービスを実施し、従業員やディーラーから高い支持を得ていた。ヒーローズの授賞対象は、医療関係者をはじめ、コミュニティの中で他者のために尽力した人物など幅広い。
選出方法は他薦で、募集期間中にに推薦された人物は「なぜ、どのようにコミュニティに尽くし、それが他の人々にどのような影響を与えたのか、どのような希望となったのか」などが審査される。同社のホームページなどからオンラインで推薦できる。応募方法は1分以内のビデオレターという形だ。推薦者は自分のビデオレターを動画サイトにアップし、そのリンクを北米マツダのホームページに貼り付ける。マツダの関係者だけではなく、世界中の人がそのビデオレターを視聴し、最終的に受賞者が決まる。
贈呈されるスペシャルエディションのMX-5ミアータはスノーフレークホワイトパールマイカのエクステリアに赤いナッパレザーのシート、内装にはシート色とマッチするアクセントが施されている。このデザインはマツダのオリジナル車、R360クーペに通じるもので、インテリアには100周年記念限定エディションのバッジなどが装備されている。
クルマの贈呈は今年12月2日ごろから始まる予定だ。マツダはヒーローの一例として「たとえば児童へのリモート学習を充実させるために努力を重ねた教師、医療機関への防護服や医療用マスクを寄付するために奔走した人などさまざまなケースが考えられる」と説明している。今年はBLM運動(ブラック・ライブズ・マター、警察官によるアフリカ系アメリカ人に対する暴力に反対する活動)もあり、人権や人種平等に取り組んだ人への推薦も多く集まると考えられる。カリフォルニア州では史上最悪の山火事もあり、消火活動に当たった消防隊員や地域の人々の避難に手を貸したボランティアなども候補に挙がるだろう。
100周年を通常のかたちで祝えない状況であっても、このような方法で地域コミュニティに還元するマツダの姿勢は、アメリカで高く評価されている。