テスラの新型SUV、モデルYが日本上陸を果たした。9月8日の納車スタートを記念して東京有明のデリバリーセンターで納車イベントが行われた。モデルYの日本初オーナーは、どのような人で、どんな考えでモデルYをオーダーしたのか、気になる。
新型モデルYはテスラの5番目にあたる車種で、モデル3をベースに開発されたミディアムサイズのSUVだ。全長×全幅×全幅4751×1921×1624mmのボディサイズは、全長はトヨタ・ハリアーやポルシェ・マカンに近いが、フロントフードが低く電気自動車(BEV)ならではの特徴的なスタイルである。
モデルYはすでに米カリフォルニア、中国上海、ドイツ・ベルリンで生産を開始。2022年第1四半期のカリフォルニア州では車名別で1位の販売台数を記録した。2位はモデル3だからテスラの人気ぶりがよくわかる。
世界的な注目もあって、モデルYの日本上陸は、6月10日の発表時点では8月納車が伝えられていたが、少し遅れた。モデルYには現時点で643万8000円のRWD(航続距離507km)と、833万3000円のパフォーマンス(同595km)の2種がある。
「現時点」と書いたのは、テスラはリリースなどの発表なく価格改定を行うからだ。6月の当初の価格はRWDが619万円、パフォーマンスは809万円だったが、値上げを実施した。予約時の価格が適用されるので、円安が進行する状況を考えると、購入を検討している場合は早めに予約したほうがよさそうだ。
日本におけるモデルY第1号車のオーナーさんに話を聞くことができた。その方はなんとモデルS、モデルX、モデル3を所有しており、今回のモデルYで4台目のテスラだという。
きっかけは2014年ごろモデルSに試乗したとき。「これがテスラか!」と感銘を受けたそうだ。「何しろエンジン車とは異次元のアクセルとの一体感、モーター駆動のダイレクトさに驚きました」「エンジン車はアクセルを踏むとスロットルが開き、燃料を噴射して、それを燃やして力が出てきて駆動がやっと伝わる。たとえば砂利道でアクセルを踏むと砂利を巻き上げながら走り出すけど、テスラは砂利が転がりだした瞬間にトラクション制御が入るので、砂利が巻き上がらない」「狭い道で切り返すとき前進、後退が瞬時に切り替わる。本当にパッパッと行ける」「クルマ好きほどテスラに乗ってみるべき」といった熱がこもったメッセージが得られた。
テスラ以外の電気自動車を聞いてみると、実は会社で日産アリアを所有しており、「それぞれに長所と短所があって、やはりテスラはアメリカ車なので、たとえばボトルホルダーの位置や、小物入れに仕切りがなく深い位置まで物が落ちてしまうなど、細かい使い勝手はまだまだ」だという。それでもテスラは十分に魅力的で、そのひとつは充電設備。テスラはスーパーチャージャーと呼ぶ専用の急速充電設備を増やしており、これが近くにあれば自宅に充電器がなくても不便がない。ほかの電気自動車メーカーにも期待したい部分である。
今後もテスラを買い続けるのか聞いてみると「サイバートラックの購入予定はありません。あれはやりすぎ」と即答。たしかに北米向けのイメージが強い。
有明デリバリーセンターでは週末ということもあって、20台以上の納車が予定されていた。現状では5~6カ月程度というバックオーダーを順次解消していくという。街中でモデルYを見かける機会が増えそうだ。