9カ月連続、前年同月実績割れ
▲日産は4月の上海モーターショーで新型シルフィを発表
中国の新車セールスの落ち込みが止まらない。2018年7月以降、9カ月連続で前年実績割れを喫した。
中国汽車工業協会の発表によると、3月の新車販売台数は、商用車と輸出を含めて約252万台。前年同月比は5.2%減と、9カ月連続で前年実績を割り込んだ。7カ月連続での2桁マイナスは回避したが、景気の減速と米中の貿易戦争の影響で、新車セールスはいっこうに回復しない。中国マーケットが活気を失うと、世界中のメーカーに大きな影響があるし、ビジネス戦略そのものを変える必要に迫られるかもしれない。
そんな中、日系メーカーは4社中3社が前年実績を超えた。日系メーカー首位は日産。13万3069台を販売し、前年同月比は8.2%増と、7カ月ぶりに前年実績をクリアした。小型セダンのシルフィが、同25・3%増の3万8265台と牽引。エクストレイルなどのSUVは、全体で同2.7%増の3万7931台を売り上げた。
日系2位はホンダで、12万2744台を販売。前年同月比は25・8%増と、2カ月ぶりにアップした。シビックが同55・1%増の2万1078台と牽引。ハイブリッド車も好調で、アコード・ハイブリッドが同43・7%増の2128台、CR―Vハイブリッドは同183・5%増の2115台を販売した。
日系メーカー3位はトヨタで、12万900台をセールス。前年同月比は1.1%増と、12カ月連続で前年実績をクリアした。カローラの兄弟車のレビンが、同7.3%増と好調。一方、18年7月からの輸入車関税の引き下げで販売好調だったレクサスは同14.2%減と落ち込んだ。
▲トヨタが中国で販売するヴェルファイア・ハイブリッド
マツダは1万8078台にとどまり、前年同月比は22.8%減と、大きく落ち込んだ。アテンザとアクセラ、CX―5のスカイアクティブテクノロジー搭載3車が、販売の主力モデルだ。
メルセデス・ベンツは6万1913台をセールス。前年同月比は5.9%増と回復した。EクラスとCクラスのロングホイールベース車が販売の中心。 BMWグループは6万717台を販売。前年同月比は12.5%増と、2桁のプラスを達成した。5シリーズや3シリーズのロングホイールベース仕様車が販売の主力。
アウディは5万5250台を販売。前年同月比は2.3%増と、3カ月連続で前年実績をクリアした。中国専用ロングホイールベース車のA4Lを含めたA4シリーズが、同7.6%増の1万4854台と、引き続き牽引。A5シリーズも支持を集めた。
ボルボカーズは1万1413台を販売。前年同月比は6.7%増と、プラスに転じた。販売の中心モデルは、現地生産のXC60とセダンのS90だ。
VWグループは32万4900台をセールス。前年同月比は9.4%減と、落ち込んだ。主力のVWブランドの乗用車は、24万2900台と、同9.9%のマイナス。そんな中、SUVの販売は好調だ。中国SUV市場におけるVWブランドのシェアは20.5%で、これは同7.3ポイント上乗せという数値である。
18年の中国新車販売は、商用車と輸出を含めて2808万600台にとどまった。6年連続で2000万台を突破すると同時に、米国を上回り10年連続の世界一。ただし、前年比は2.8%減と、28年ぶりに前年実績を割り込んでいる。四半世紀以上にわたって右肩上がりの急成長を続けてきただけに、「潮目の変化」は未曾有の事態といえる。
19年1~3月の中国新車販売台数は637万2000台。前年同期比は11.3%減だった。マツダ(中国)の渡部宣彦董事長は、「中国の自動車市場は総じて冷え込んでいる。今後も市場は低迷し続けるだろうが、4月1日以降、大規模な減税政策が徐々に実施される」とコメント。厳しい市場環境の中、減税がユーザーの購買欲の回復につながることに期待を寄せている。
▲アウディは中国でロングホイールベース仕様が人気 写真はQ5L