コンパクト風洞試験システム「Aero Optim」を手掛ける日本風洞製作所は、株式会社ニシヤマとの協同により、静岡県沼津市に「Aero Optim」シリーズを用いた「風洞試験センター」を設立することで合意に達したと発表した。
本センターには、自転車用測定システム(自社開発)と自動車用測定システム(株式会社ニシヤマ、大和製衡との共同開発)を配備し、購入検討のカスタマーのための製品のトライアルのほか、一般企業や個人に向けても有償で利用枠を開放し、利用できる施設となっている。このような一般でも利用できる自動車・自転車用風洞は日本で初めて※のものとなる。
※2022年10月17日現在、日本風洞製作所調べ。日本国内における風洞試験施設のうち、一般利用ができ、1/1スケールの自動車用風洞および1/1スケールでライダーが搭乗可能な自転車用風洞を具備するもの。
コンパクト風洞試験システム「Aero Optim」とは日本風洞製作所が開発した風洞試験装置だ。装置は整った気流を生み出し、空気抵抗や流れの観察をするために用いられ、乗り物の開発やスポーツ、航空宇宙産業など、流体が関わる多くの分野で活用されている。しかし、従来型の風洞装置は大型・高価・高維持費・高い稼働率により、一部の大手メーカーや研究機関等しか使えない高嶺の花だった。
日本風洞製作所は独自の技術開発により、この風洞装置をできるだけ小型・低価格化させ、できるだけ多くの人が気軽に風洞実験ができることを目指して「Aero Optim」シリーズを開発。本年度より量産モデルの販売に着手した。小型ながら、ある程度整った直進性の高い気流を生み出せることが特徴で、従来型風洞とも相関のある実験結果を得ることができる。
本センターによって、自動車や自転車業界のメーカーにとっては、製品の試験機会の拡大による製品開発のさらなる加速に寄与することが期待がされる。自動車業界では、従来の空力分野だけでなく、熱・冷却、カーデザインなど、さまざまな部門で風洞試験システムは活用されている。特に近年は、ガソリンから電気へのシフトにより多くの部門で風洞試験のニーズが高まっており、SDGs達成にも一役買うことができるだろう。スポーツカー愛好家にとっても、愛車のエアロパフォーマンスを客観的に評価する機会を提供し、さらなる走りの追究に貢献する。
自転車業界においては、近年ロードバイクで関心が高まっているエアロロードバイクの開発や、各種パーツ、ウェアなどの空力試験を行うことができる。自転車競技選手の皆様や愛好家には、従来一部のトッププロに限られていた、自転車のセッティングや最適な乗車フォームの追究の機会をご提供することが可能だ。また自転車用測定台には、走行抵抗を模擬する負荷装置が内蔵されているため、よりリアルな姿勢保持条件で試験をすることができる。
■株式会社ニシヤマ 代表取締役社長 西山正晃氏 コメント
「弊社ではこれまでも、日本風洞製作所様が開発したコンパクト風洞に大きな可能性を感じ、国内外での営業活動や出資という形でご支援させていただいて参りました。この度、風洞試験センターによる体験を通じたAero Optimの魅力発信や、「風洞の民主化」という企業理念の実現を図りたいというローン社長の強い思いに共感し、ご支援させていただくことにしました。今後とも、施設の有効活用、利用促進に向け、全力でお手伝いさせていただきます」
■日本風洞製作所 代表取締役 ローンジョシュア氏 コメント
「皆様、大変おまたせいたしました。今まで、多くのお客様にAero Optimをご紹介させていただく中で、特に一般のお客様から「ぜひ使ってみたい」とのお声を頂戴しておりましたが、この度ニシヤマ様の多大なるご協力・ご支援の下、ようやくその声にお応えすることができ、非常に嬉しく思っております。本施設の実現により、弊社は理念である「風洞の民主化」にまた一歩近づくことができました。多くの皆様にご利用いただき、風洞実験の有効性を実感していただければ何よりです」
■風洞試験センター 概要
設立地:静岡県沼津市
設立時期:2023年初頭を予定
試験設備
自動車用コンパクト風洞試験システムAero Optim×SLIM BALANCE
自転車用コンパクト風洞試験システム
他、従来型の小型風洞試験装置(校正用風洞、極低騒音風洞等)を随時配備予定