インタビュー:曙ブレーキ工業 代表取締役CEO 宮地康弘さん
日本と米国でブレーキのシェア4割! 自動車のブレーキパッドをはじめ新幹線や電車などの安全を足元から支える「曙ブレーキ」宮地康弘社長にAi-Museum(ブレーキ博物館)でお話をうかがいました。
曙ブレーキの創業は1929年。今年で93年目の老舗ブレーキ専門メーカー。ハイパフォーマンスモデルはもちろん、軽自動車や商用車、新幹線のブレーキも作っています。
ー ブレーキは、乗り物にとって最も安心・安全なものでないといけないものだと思いますが…
宮地 曙ブレーキの強みは、技術の蓄積です。たとえばブレーキパッドの摩擦材。材料や混ぜ方などの知識も豊富なので、新しい要求に対してもすぐ応えられることです。ハイパフォーマンスカーにもレース活動を通じて常にブレーキ技術を磨き、投入しています。
― 曙ブレーキの特徴と、他社との違いはどこだと思いますか?
宮地 曙ブレーキはレース活動を通じて過去にはマクラーレンF1。現在は「TOYOTA GAZOO Racing」でWECや今年からはWRCなどにも提供し、レース車両、ハイパフォーマンスの車などのほか、普通車やほかの乗り物にも展開しています。しかし課題は一般ユーザーからの認知度がまだ低いことです。高性能なブレーキというと、b社さんが知られていますが、‘「b」の上には「a」がある’と思っていただけるようにしたいです。
― 今後は?
宮地 自動車業界が電動車にシフトしているので、曙ブレーキもより電動車に適したブレーキを開発します。また、環境に配慮し、極力CO2を抑えるブレーキを作っていかねばなりません。ここが一番大きな開発ポイントです。
― 今年5月にトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」の一般ユーザー向けブレーキを販売し、かなり反響があったと思いますが、今後はほかの商品も展開されますか?
宮地 もちろんです!日本の車はブレーキをカッコよく見せようと思っていないと思っています。欧州や中国などはブレーキをカッコよくしたいというニーズが高いので、当社の新構造のAWDブレーキキャリパーは、通常のブレーキより軽く、しかもローターもホイールも交換せずにドレスアップが可能です。色のオプションも増やしていきたいと思います。
(このインタビューはカー・アンド・ドライバー2022年8月号より一部抜粋したものです)