日本のものづくりを支える「人」インタビュー:曙ブレーキ工業代表取締役CEO 宮地康弘さん

インタビュー:曙ブレーキ工業 代表取締役CEO 宮地康弘さん

 日本と米国でブレーキのシェア4割! 自動車のブレーキパッドをはじめ新幹線や電車などの安全を足元から支える「曙ブレーキ」宮地康弘社長にAi-Museum(ブレーキ博物館)でお話をうかがいました。

 曙ブレーキの創業は1929年。今年で93年目の老舗ブレーキ専門メーカー。ハイパフォーマンスモデルはもちろん、軽自動車や商用車、新幹線のブレーキも作っています。

1964年、日野コンテッサに採用された国産初の曙ブレーキ製ディスクブレーキキャリパー

 

ー ブレーキは、乗り物にとって最も安心・安全なものでないといけないものだと思いますが…
宮地 曙ブレーキの強みは、技術の蓄積です。たとえばブレーキパッドの摩擦材。材料や混ぜ方などの知識も豊富なので、新しい要求に対してもすぐ応えられることです。ハイパフォーマンスカーにもレース活動を通じて常にブレーキ技術を磨き、投入しています。

曙ブレーキは2007~2012年マクラーレンF1チームにブレーキキャリパーを供給。写真は2007年モデル

 

― 曙ブレーキの特徴と、他社との違いはどこだと思いますか?
宮地 曙ブレーキはレース活動を通じて過去にはマクラーレンF1。現在は「TOYOTA GAZOO Racing」でWECや今年からはWRCなどにも提供し、レース車両、ハイパフォーマンスの車などのほか、普通車やほかの乗り物にも展開しています。しかし課題は一般ユーザーからの認知度がまだ低いことです。高性能なブレーキというと、b社さんが知られていますが、‘「b」の上には「a」がある’と思っていただけるようにしたいです。

究極のロードゴーイングモデル、マクラーレンP1はakebono製セラミックカーボンブレーキを採用

― 今後は?
宮地 自動車業界が電動車にシフトしているので、曙ブレーキもより電動車に適したブレーキを開発します。また、環境に配慮し、極力CO2を抑えるブレーキを作っていかねばなりません。ここが一番大きな開発ポイントです。

埼玉県羽生市のAi-Museum(ブレーキ博物館)。ブレーキの歴史や曙ブレーキ製品を展示。現在はコロナ禍の影響で休館中。

 

― 今年5月にトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」の一般ユーザー向けブレーキを販売し、かなり反響があったと思いますが、今後はほかの商品も展開されますか?

宮地 もちろんです!日本の車はブレーキをカッコよく見せようと思っていないと思っています。欧州や中国などはブレーキをカッコよくしたいというニーズが高いので、当社の新構造のAWDブレーキキャリパーは、通常のブレーキより軽く、しかもローターもホイールも交換せずにドレスアップが可能です。色のオプションも増やしていきたいと思います。

曙ブレーキが新開発したトヨタ・アルファード/ヴェルファイア用AWPブレーキキャリパー。GRガレージ浦和美園にて販売中。

 

(このインタビューはカー・アンド・ドライバー2022年8月号より一部抜粋したものです)

雑誌『CAR and DRIVER』連動記事

CAR and DRIVER (2022年8月号)のご紹介

  • 【特集1】買って後悔しないクルマ
  • 【特集2】いまどきのクルマの買い方
  • 【連載】クルマの通知表
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