1920年代の名車T35、75%サイズのレプリカ電動車
▲ブガッティT35のレプリカ リチウムイオンバッテリーとモーターで走行 サイズは実車を75%に縮小(写真はBUGATTIのホームページから)
ラグジュアリーカーメーカーのブガッティが、実際に走らせることができるトイカー、ブガッティ・ベイビー(呼称はザ・ベイビー2)を復刻させて話題になっている。2019年ジュネーブ・モーターショーでお披露目されたモデルで、約100年前に製作された最初のトイカーと並べて展示された。オリジナルのトイカーは、ブガッティが息子ジャン君の誕生日プレゼント用に作ったもの。T35レースカーをおよそ半分のサイズに仕上げた1台で、当時は大きな反響を呼んだため、ブガッティは500台限定で同じ車両を作って売り出した。
今回はそれにちなんで500台限定生産、オリジナルより大きめの実物の75%のサイズで、今年後半から販売が始まる。同じくT35のレプリカだが、電動式で最高速度はアダルトモードで45km/h、チャイルドモードで20km/hと本格的だ。
ザ・ベイビー2はオリジナルのT35をスキャンし、ディテールも精巧に再現されている。それに加え、オリジナルとは異なる快適な乗り心地を実現するためのデフなどを装備している。実際に大人が乗って走行しても楽しい1台だ。なお、4本のスポークステアステアリング、8本スポークのホイールなどは、1924年のフランスGP出場モデルがオリジナルだ。
販売価格は3万ユーロ(約375万円、税と配送料は別)から、というから、エントリークラスのクルマよりも高い。トイカーといいつつも、子供のおもちゃの範疇をはるかに超えている。
最近は2017年にパリで行われたオークションで、オリジナルのブガッティ・ベイビーが9万9000ドル(約1100万円)で落札された。そもそも1926年当時の販売価格が5000フラン、当時としてはかなり高額だった。現在でも100台が存在しているといわれ、時折オークションで話題になる。
ブガッティ車はオークションでの最高額を塗り替えてきた歴史がある。1986年、ブガッティ・ロイヤルが650万ドルで落札され、翌年には同じロイヤルが990万ドルという高値をつけた。この記録は2010年まで破られなかった。トイカーに関しては、これまで高額で取引されたものの上位すべてがブガッティ・ベイビーであり、今後もこれに追いつく記録は生まれない、とまでいわれている。
ただしこれだけの値打ちがあるゆえに、ブガッティ・ベイビーの贋作は多く出回っている。レプリカであることを明示した安価なモデルもあるが、現代の技術を使ってかなり忠実に再現されている。レプリカであっても、ホビーマーケットでの人気は高い。
オリジナルのトイカーは、発売当初は各国の貴族や大富豪の子息がこぞって愛用し、フランス南部の有名リゾート、カンヌやニースなどではよく見かけられたという。現代の新しいザ・ベイビー2を買うのは、いったいどんなユーザーたちなのか。ブガッティは2019年3月11日から予約を受け付けると発表している。