ダイナミックマップ基盤の『高精度3次元地図データ(HDマップ)』がゼンリンを通じて、Hondaの世界で初めて国土交通省から認定を受けた「自動運転レベル3」を実現する「Honda SENSING Elite」を搭載した車種「LEGEND」に採用された。
ダイナミックマップ基盤は、高精度3次元地図データ(HDマップ)を提供する企画会社としてSIP参画企業および自動車メーカー10社の共同出資により2016年6月13日に設立した。主に自動車関連および多用途向けビジネス向けに高精度3次元データの提供を行っている。
『高精度3次元地図データ(HDマップ)』は、道路標識や車線情報などの高精度な3次元情報を収録。この地図データを車両に搭載したカメラ、センサー等と組み合わせて使用することで、車両の周囲360度の情報と道路上の正確な位置の把握が可能となる。
Honda SENSING Eliteは、現在Honda車で展開されているHonda SENSINGの中でもElite(精鋭・優れた技術の象徴)として命名され、Hondaのフラグシップ車であるレジェンドより採用された安全運転支援システムだ。
特に「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」は、Hondaが国土交通省より自動運行装置として型式指定を取得した自動運転レベル3:条件付自動運転車(限定領域)に適合する先進技術であり、これにより高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムがドライバーに代わって運転操作を行うことが可能となった。※
※自動運転レベル3とは、 日本政府が定める自動運転の定義(SAEに準拠)。高速道路渋滞時や、天候、速度などの一定の条件下でシステムがドライバーに代わって運転操作(自動運転)を行ない、ドライバーはハンズオフやTVの視聴、スマートフォン操作などが可能になる。レベル2までは、運転主体はドライバーにあり、システム作動中でも事故を回避する責任はドライバーにあったが、レベル3以上では、システム作動中の運転主体はシステムに移り、事故を回避する責任もシステム側が負うことになる。
車両制御においては3次元の高精度地図や、全球測位衛星システム(GNSS)の情報を用いて、自車の位置や道路状況を把握し、多数の外界認識用センサーで周囲360°を検知しながら、車内のモニタリングカメラでドライバーの状態を見守る。こうしてさまざまな情報をもとにメインECUが認知・予測・判断を適切に行い、アクセル、ブレーキ、ステアリングを高度に制御して上質でスムーズな運転操作を支援する。
日本ではITS構想・ロードマップ2020にて、2022年度ごろまでを目途にBRT専用区間や生活道路などの混在空間において遠隔操作及び監視ありの自動運転サービスを開始し、徐々に拡大していく目標を掲げている。
米国、中国などでは既に自動運転レベル4の実用化が着々と始まっており、ドイツにおいても、レベル4車両の公道一般走行を可能にする道路交通法の改正案が閣議決定され、2021年半ばまでの法案可決、2022年までの施行を目指している。
今後の事故を軽減する安全・安心な交通社会の実現と自動運転業界の技術や発展に注視したい。