2022年11月の政府税制調査会においては「走行距離に応じた課税を検討」という意見が出たと報道された。
自動車には、どのような税金がかかっているのか。日本自動車工業会がまとめている。クルマに関する税金は、購入段階/保有段階/走行段階にわけて整理することが多い。
・環境性能割=新車、ユーズドカーを購入したときの環境性能に応じて課税。2019年までの「自動車取得税」に代わる税金
・消費税=自動車の購入価格に対する課税
・自動車重量税=新車購入時と車検時に支払う。重量に応じて課税。乗用車の場合は原則として0.5トンごとに年間4100円。軽自動車は定額で年間3300円
・自動車税=排気量別に年間定額で課税。1501~2000ccの場合は3万6000円
・軽自動車税=乗用車の場合、年間1万800円
・ガソリン税=1リットル当たり53.8円(揮発油税48.6円/地方揮発油税5.2円)
・軽油引取税=1リットル当たり32.1円
・石油ガス税=LPG1kg当たり17.5円
・消費税=燃料購入価格に対する課税(軽油の場合は軽油引取税を抜いた金額に課税)
こうして見ると、「BEVはエンジンがないから、自動車税が免税になるの?」という疑問がわく。実際は、1000cc未満の税金(年額2万5000円)がかかる。そして、BEV「グリーン化特例」の対象になるので、購入初年度と2年目は、おおむね75%の軽減措置が適用される。また、自動車重量税は購入時と初回車検時は免税対象になっている。
BEVの普及は、カーボンニュートラルを目指す政府にとって重要な推進対象だ。ユーザーが購入しやすい、保有しやすい環境を税制面で後押しするのはよい話である。
しかし、税金を徴収する側から見ると「現在、税金面で優遇されているBEVから税金を徴収するアイデアはないか」という話になる。
それが「走行距離に応じて税金を徴収してはどうか」といったアイデアにつながり、各種報道をにぎわせた「走行距離税」だといえそうだ。
BEV普及のための優遇策が「アクセル」だとすれば、新たな税の創設は「ブレーキ」になりえるのではないだろうか。