自動車の安全性を評価するテストを国内で唯一行う自動車事故対策機構が、毎年恒例の自動車アセスメント(JNCAP)の結果を発表した。
自動車アセスメントは、国土交通省と独立行政法人の自動車事故対策機構が、自動車の安全性能を評価・公表するもの。20年度から「自動車安全性能」の総合評価を開始しており、最高評価の「ファイブスター賞」を得るには、衝突安全性能評価と予防安全性能評価で最高ランクを獲得し、事故自動緊急通報装置を装備することも求められる。
この安全性番付において、最高評価のファイブスター賞を6モデルが獲得。SUBARUレヴォーグが最高得点を獲得し、ファイブスター大賞に選出された。
レヴォーグは、衝突安全性能評価がランクAで100点満点中96.91点を獲得。予防安全性能評価もランクAで82点の満点だった。事故自動緊急通報装置は、8点満点。トータルスコアは190満点中186.91点を獲得し、ファイブスター大賞に輝いた。
レヴォーグは、スバルグローバルプラットフォームに加えて、フルインナーフレーム構造を採用。これは、ボディ全体の骨格連続性を高める構造で、特徴は骨格を組み立ててから、ボディパネルを溶接する点。これにより、ボディ剛性を大幅に引き上げることに成功した。従来モデルに対して重量増を抑えつつ、全方向からの衝突安全性能が大幅に向上した。
予防安全性能の満点評価に貢献したのが、最新のアイサイト。レヴォーグは、視野を大幅に広げた新開発のステレオカメラに加えて、前後4個のレーダーを組み合わせて、車両の周囲360度のセンシングを実現した。この新世代アイサイトは、ソフトウェアの性能向上や電動ブレーキブースターを採用。交差点の右左折時や見通しの悪い場所での出会い頭など、より幅広いシーンで衝突回避を支援する。新世代アイサイトは、レヴォーグ全車に標準装備されているのが心強い。
満点評価の事故自動緊急通報装置が、SUBARU・STARLINK。レヴォーグは、エアバッグが作動するような衝突事故が発生した場合に、自動的にコールセンターにつながり、警察や消防、医療機関などと連携して、より迅速に救命活動が行われるよう支援する。また、急な体調不良などで運転が困難な場合に、専用ボタンを押すとコールセンターにつながり、専門スタッフからアドバイスを受けることや、必要に応じて救急に対する出動要請を行ってくれる。
ファイブスター賞は、トヨタ・ヤリス(トータルスコアは190満点中173.41点)、トヨタ・ヤリスクロス(同175.7点)、トヨタ・ハリアー(同177.68点)、ホンダ・フィット(同174.4点)、日産デイズ(同175.72点)の5車種が獲得した。
トヨタは、ヤリス、ヤリスクロス、ハリアーの3車種が選ばれた。このうち、ヤリスとヤリスクロスは、コンパクトカー向けTNGAプラットフォームのGA-Bを採用し、軽量かつ高剛性、低重心なボディを開発した。高度駐車支援システムや、交差点右折時の対向直進車・右左折後の横断歩行者も検知する最新のトヨタ・セーフティセンスを装備。安全性能も高めている。
ハリアーのプラットフォームは、TNGAのGA-Kで、ボディの高剛性化・低重心化を図った。トヨタ・セーフティセンスに加えて、走行中の前後方向の映像を録画可能なデジタルインナーミラーをトヨタ車として初採用は注目に値する。
フィットのAピラーは従来とは異なる構造で、衝突時に受けた荷重を極力負担しないようにした。細いピラーで広い視野が確保でき、荷重はサポートパスが受け止める。安全運転支援技術のホンダセンシングは、車両の前後8個のソナーセンサーに、前方を広角に検知するフロントワイドビューカメラを初搭載した。後方誤発進抑制機能やホンダ初の近距離衝突軽減ブレーキを装備している。
デイズはKカーとして初めて、ファイブスター賞を受賞した。運転支援技術のプロパイロットをはじめ、先進事故自動通報システムのSOSコール、ミリ波レーダーなど、経済性が重視されるKカーの枠組みを超えた多くの先進技術を搭載した点が評価された。