ウーブン・アルファ、三菱ふそうと自動地図生成プラットフォームの先進運転支援技術への活用に向けた共同研究を開始

 トヨタの子会社であるウーブン・プラネットのグループ会社ウーブン・アルファと、商用車メーカー三菱ふそう(MFTBC)は、ウーブン・アルファが開発する自動地図生成プラットフォーム(AMP)を用いた共同研究を開始すると発表した。

▲高精度地図を用いた商用車の安全性向上を目指し共同研究を発表
▲高精度地図を用いた商用車の安全性向上を目指し共同研究を発表

 ウーブン・アルファにとって、トヨタグループの枠を超えた三菱ふそうとの共同研究となる。両社は、高度な先進運転支援技術を用いた新たな安全機能の研究と、新機能を搭載した商用車による実証実験を行い、さらなる安全の向上を目指す。

 本共同研究において、両社は既に10以上の実証項目を検討している。今回はその第1弾として、自動地図生成プラットフォーム「AMP」(Automated Mapping Platform)の高精度地図をMFTBCが開発するカーブ進入時速度超過警報装置「ECSW」(Entering Curve Speed Warning)に実装し、同装置を搭載したMFTBCの大型トラック「スーパーグレート」を走行させる実証実験を行う。これにより、大型トラックの安全運転支援における高精度地図の効果や課題を検証。トヨタは、本共同研究を通じてAMPの大型商用車への展開、また、トヨタグループの枠を超えた先進運転支援技術や自動運転に関する協業を推進を目指すとしている。

▲自動地図生成プラットフォーム「AMP」06月08日には、いすゞ、日野と共にAMPの活用に向けた検討を開始すると発表していた
▲自動地図生成プラットフォーム「AMP」06月08日には、いすゞ、日野と共にAMPの活用に向けた検討を開始すると発表していた

 先進運転支援や自動運転において、センサー情報の1つとして地図を用いる際には、従来は主に費用の観点から、カーナビゲーション用の地図情報が使われてきた。しかし、この方法では地図情報の更新が数ヵ月ごととなり、精度もメートル単位となるため、高度な自動化技術を搭載した車両への採用や、車線レベルで安全な運転を支援する精度の高いアプリケーション開発の難しさが課題となっていた。また、現在のカーナビゲーション用の地図情報では、車線と物体の位置関係を理解することは困難だ。一般的に高精度な地図の生成や更新には専用の計測車両が使われるが、専門性が高く高価な点が課題となっている。

先進運転支援や自動運転では、道路や車線、信号や道路標識などに何らかの変更があった場合には、速やかにその変化を検出し、地図に反映する必要がある。道路を走行する一般車両からのデータや、衛星・航空写真のデータ等を使って高精度地図を生成するAMPは、費用を抑えながら地図の更新頻度やカバレッジを向上させ、これらの課題を解決することを目指す。

▲AMPをカーブ進入時速度超過警報装置「ECSW」に実装し、同装置を搭載したMFTBCの大型トラック「スーパーグレート」を走行させる実証実験を行う
▲AMPをカーブ進入時速度超過警報装置「ECSW」に実装し、同装置を搭載したMFTBCの大型トラック「スーパーグレート」を走行させる実証実験を行う

 今回の実証実験では、AMPをECSWに実装し、車両の状態に応じて適切なタイミングでドライバーに急カーブへの進入を予告し、安全な速度までの減速を促す機能を検証する。道路や車線の状況を予測する機能は、商用車による事故を防ぐために特に重要な機能だ。低コストで高精度な地図を高頻度で更新するAMPをセンサー情報として活用し、システムの冗長性とドライバーの道路状況認識を高め、商用車の安全性の向上を目指す。

▲三菱ふそう(MFTBC)は、2019年にSAEレベル2相当の高度運転支援技術を搭載した大型トラック「Super Great」を商用車メーカーとして初めて日本に導入。日本の商用車市場のベンチマークとなった
▲三菱ふそう(MFTBC)は、2019年にSAEレベル2相当の高度運転支援技術を搭載した大型トラック「Super Great」を商用車メーカーとして初めて日本に導入。日本の商用車市場のベンチマークとなった

■ウーブン・プラネット Automated Driving Strategy and Mapping Vice President マンダリ・カレシー氏 コメント
「商用トラックとバスのメーカーであるMFTBCとの共同研究に着手し、安全な商用車と物流の実現に貢献できることを大変嬉しく思います。私たちは、単に人とモノを移動させるだけでなく、ドライバーへの負荷を軽減し、人々の命を守るソリューションの提供をめざしています。低コスト、高精度、自動かつ高頻度での地図更新を可能にするAMPの開発を通し、グローバル規模であらゆるメーカーとの協業に取り組んでいきます。今回の共同研究は商用車における安全性を最大化させるための取り組みであり、今後もAMPを用いてパートナーと協業することで、更なる価値を提供していきます。」

■MFTBC 副社長 開発本部長 安藤寛信氏 コメント
当社は、高度運転支援技術、またその先に位置する自動運転技術を、商用車のさらなる安全を実現する、非常に重要なものと位置付けています。これらの技術が近い将来、欠かせないものとして広く浸透することを信じ、日々開発に取り組んでいます。ウーブン・アルファのAMPは、その重要なピースとなる可能性を秘めています。同社との共同研究は、相互にメリットの大きいものと信じており、双方の知見を最大限に交わしながら、さらに安全な社会をつくるため、歩みを進めてまいります。

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