カーボンニュートラル向けて最新ハイブリッドが果たす役割

各社の知見と技術を結晶した最新ハイブリットの魅力

 

2023年1月にデビューした新型プリウス

 トヨタは今年1月、新型プリウスを発表した際に、「これまで2030万台のハイブリッド車を販売し、累計約1億6200万トンの二酸化炭素排出削減をした」と説明している。そして「日本では、20年前に比べて二酸化炭素の排出量を23%削減した。これは国際的に見ても高いレベル」だと明らかにしている。

プリウスは1997年に世界初の量産ハイブリッド車としてデビューした

 プリウスが1997年にデビューして以来、トヨタを筆頭に、ホンダ、日産、スズキ、SUBARU、マツダなどが続々とハイブリッド車(HEV)を発表し、三菱はプラグインハイブリッド(PHEV)の販売を順調に伸ばしている。

 EUは「2035年に内燃機関を搭載したモデルの販売を禁止する」方針を打ち出した。燃料電池車(FCEV)の普及が進んでいない欧州の現状を考えると、実質的にBEV(バッテリー電気自動車)に舵を切ったといえる。

 BEVに向かう欧州、内燃機関搭載のニューモデル販売を禁止する方針を明らかにした米国カリフォルニア州でテスラ人気が高い現状から、「日本のBEV普及は遅れている。(BEVから取り残された)ガラバゴス化する」と指摘する声がある。だが、日本はハイブリッド技術を通じて二酸化炭素を削減してきた実績がある。

「二酸化炭素排出量ゼロに一気に向かうのではなく、いまユーザーが使いやすい(購入しやすい)カーボンニュートラルに近づくための技術を持ったクルマを使いつつ、社会環境や発電事情がBEV社会に好都合になるタイミングを待つ」という取り組み方が、メーカーにもユーザーにも、そして社会全体にも負荷と負担が少なくてすむのではないだろうか。

 発電所を建設するよりも、蓄電施設を開発・設置したほうが効果的だという指摘もある。太陽光や水力で発電した電力を蓄電し、必要なときに充電するというアイデアだが、充電拠点をのテーマも併せて解決する必要がある。

 充電ステーションの設置も進んでいるが、「ガソリンを給油するのと同程度の時間で、満充電にできる」という条件をつけると、その拠点数は限られてくる。「自宅で充電し、昼間や外出先では充電しない」というライフスタイルが実践できる住宅環境を内燃機関搭載車に乗っている全員が持っているわけではない。

 日本には日本にあった技術、タイミング、方法でカーボンニュートラルに向かって邁進していくしかない。そのためには、燃費性能に優れたハイブリッド技術の研鑽は、まだまだ必要だといえる。

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