フォルクスワーゲン(VW)の小型SUVが、2021年第3四半期(1~9月)における国内登録の輸入SUVカテゴリーで、ワン・ツーの快挙を成し遂げた。首位はTクロスで7296台、2位はTロックで5826台だった。
上半期(1〜6月)の時点ではトップがTクロス5193台、2位ボルボ60シリーズ4145台、Tロック3854台というオーダーだったが、7〜9月の販売台数でTロックが頑張り、1〜9月までの累計台数は3位のジープ・ラングラーを90台上回った。
順位=車名:1〜9月の販売台数(第1四半期/第2四半期/第 3四半期)
1=VW・Tクロス:7,296(3,229/1,964/2,103)
2=VW・Tロック:5,826(1,660/2,194/1,972)
3=ジープ・ラングラー:5,785(1,972/1,777/2,036)
4=ボルボ60シリーズ:5,736(2,304/1,841/1,591)
5=ボルボ40シリーズ:4,985(1,642/1,726/1,617)
*日本自動車輸入組合の資料を元に作成
Tクロスは、フォルクスワーゲンのSUVの中でボディサイズが最も小さい。全長×全幅×全高は4115×1760×1580mm。コンパクトなボディサイズでありながら、広い室内空間とクラストップレベルの荷室容量を備えているのがセールスポイント。後席が最大140mm前後にスライドするため、室内アレンジも多彩。
パワートレーンには、直噴1リッター直列3気筒ガソリンターボエンジンに7速DCTを組み合わせて、軽快で俊敏な走りを追求した。SUVらしい使いやすさ、安全性と快適性を確保したMQBプラットフォーム、上級モデル譲りの先進安全装備も特徴。
Tクロスは2020年11月末の発表以来、多くのユーザーが使いやすいボディサイズやクラストップレベルの荷室容量をはじめ、多彩なカラーバリエーションを評価した。発表後2カ月で予約受注が1800台を超えた事実が、人気の高さを物語る。
また、Tクロスの価格は、286万7000円から。国産車では、日産キックス(275万9900~286万9900円)が同価格帯になる。Tクロスは2020年1月末に販売を開始し、2020年の年間登録台数は8930台と輸入車SUVトップだった。その勢いが、2021年に入っても持続した形となる。
このTクロスとティグアンの間に位置するのが、Tロック。ボディサイズは、全長×全幅×全高4240×1825×1590mm。Tクロスよりも125mm長く、65mmワイド、10mm背が高い。それでも、旧型ゴルフと同等のボディサイズに抑えており、取り回し性に優れる。
エクステリアは、ティグアンからVWが培ったSUVのDNAを継承し、ダイナミックで都会的なデザインを目指した。ボディカラーにVWのSUVとして初めて、ツートンカラーを用意した点も話題である。
パワートレーンは、2リッター直列4気筒クリーンディーゼルTDI。最高出力150ps、最大トルク340Nmを発生する。トランスミッションは、7速DCTを組み合わせた。
Tロックの価格は355万円から。プジョー2008GT(346万5000円)やMINIクラブマン・バッキンガム(355万円)などと価格帯は近い。
輸入SUVの販売ランキングを整理すると、3位はジープ・ラングラー、4〜5位はボルボの60と40(SUV以外のボディも含む)。アメリカンSUVのタフなイメージを継承するラングラーが3位という実績からは、ユーザーがSUVに期待する特質……タフでたくましいオフロード性能、機能的・道具的なスタイリングなどが浮かんでくる。
メルセデスGクラスは今年第1〜第3四半期を通じてランキング20位以内をキープし、販売台数は3973台を達成。コンパクトな都会派SUVと大型ボディの本格オフロード派の共存は、これからも続くように思える。
輸入車全体の販売台数で見ると、今年1〜9月の車名別トップはMINIで、1万697台。7054台を販売したBMW3シリーズがVW・Tクロスに続く総合3位になる。VWゴルフは今年1〜3月はブランド別トップ20ランキング外。新型を発売した4〜9月データは5475台と販売を伸ばしている。