テスラ・モデル3が欧州で車名別販売ランキング首位を獲得

▲テスラ・モデル3
▲テスラ・モデル3

 テスラのEVが、欧州で快挙を達成した。調査会社JATOの発表によると、モデル3が9月の欧州新車セールス(96万4800台、欧州26カ国)の車名別ランキングにおいて、堂々の1位を獲得したのだ。

 これまで、テスラのEVはオランダなど電気自動車に対するインセンティブが充実した国で、販売ランキングの首位に立つことはあった。しかし、9月の欧州全体(主要26カ国)の合計販売台数で、テスラ・モデル3がナンバーワンである。EVが欧州新車セールスの車名別ランキングのトップに立つのは、モデル3が初めて。また、欧州以外で生産された車両が首位になったという点でも、モデル3が初めてだ(JATO調べ)。

▲テスラ・モデル3
▲テスラ・モデル3

 テスラ・モデル3の9月の欧州での販売台数は、2万4591台。前年同月比は58%増と伸びた。トップ10は別表にまとめたとおり。モデル3は欧州の名だたるベストセラーモデルを抑えて、堂々の首位である。なお、モデル3は1〜9月累計販売が9万9419台。9月の販売比率は約25%と、ここで集中的に売れた状況がわかる。

▲テスラ・モデル3
▲テスラ・モデル3

順位=車名:販売台数
1=テスラ・モデル3:24,591
2=ルノー・クリオ:18,264
3=ダチア・サンデロ:17,988
4=VWゴルフ:17,507
5=フィアット/アバルト500:16,349
6=オペル(ボグゾール)コルサ:/15,502
7=プジョー2008:14,931
8=ヒュンダイ・ツーソン:14,088
9=プジョー208:13,895
10=ルノー・キャプチャー:13,715

▲ルノー・クリオ
▲ルノー・クリオ

 また、テスラはモデル3を含めたブランド全体の9月の欧州新車販売台数で、3万3566台を達成して全体9位に入った。グループ別販売台数は別表にまとめたとおり。米国で人気の高いテスラは、いまや欧州でもその地位を確立した。

▲ダチア・サンデロ
▲ダチア・サンデロ

順位=グループ名:販売台数
1=VWグループ:205,077
2=ステランティス:179,352
3=ルノー/日産:125,282
4=ヒュンダイ・キア:105,420
5=BMWグループ:68,423
6=トヨタ:64,560
7=ダイムラー:44,954
8=フォード:43,913
9=テスラ:33,566
10=ジーリー(吉利汽車):20,294

▲テスラ・モデルY
▲テスラ・モデルY

 小型セダンのモデル3に続いて欧州市場に投入されたSUVのモデルYは、9月は8926台を販売した。欧州EV販売ランキングで、モデル3に次ぐ2位につけた。以下、EV販売ランキングでは、VWのID3が8302台、ルノー・ゾエが6580台、フィアット500eが4758台、VWのID4が4603台、プジョー208が4332台など。モデル3の2万4591台の販売実績は、まさに桁違い。

 モデル3とモデルYの成功により、テスラは欧州の9月のEV市場で、24%のトップシェアを獲得した。VWグループの22%、ステランティスの13%、ヒュンダイ・キアの11%を上回った。

▲テスラ・モデルY
▲テスラ・モデルY

 モデル3の人気の理由は、どこにあるのか。EVならではの環境性能や経済性、テスラに乗ることがクールでカッコいいというのも理由だろう。もうひとつ、価格面の魅力も大きい。たとえば、ドイツでのモデル3のベース価格は、4万2990ユーロ(約562万円)。ドイツでは9000ユーロ(約118万円)の環境ボーナスの対象となり、これを適用すると、実質価格は3万3990ユーロ(約445万円)に下がる。

 上級EVのモデルSのドイツベース価格10万1990ユーロ(約1335万円)と比較すれば、モデル3はユーザーが手を伸ばしやすい価格帯にあるといえる。

▲テスラ・モデルS
▲テスラ・モデルS

 JATOのグローバルアナリスト、フェリペ・ムノ氏は、「現在のEVブームには多くの要因がある。インセンティブに加えて、EVラインアップの拡大も追い風。半導体の供給が限られる中、メーカーが内燃エンジン車からEVに生産をシフトしていることも、EVブームの要因」と分析している。

 JATOが発表した燃料タイプ別の新車販売は、ガソリン57%、ディーゼル17%、電動車23%、その他3%。ディーゼルは前年同期比で10ポイントシェアを落とし、電動車は11ポイントシェアを拡大している。

 ボディタイプで見るとSUV比率が46.5%と過去最高に達した。BEVやPHEVのSUVのデビューが、このジャンルの拡大を後押ししている。JATOは「この傾向が続けば、欧州の道路は新車販売の半分以上がSUVの米国と同じような状況になるかもしれない」と指摘している。

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