2021年12月、首都高速道路は「2022年4月から料金の見直しと、34カ所の料金所をETC専用にする」と発表した。
料金の見直しは、2016年4月に対距離制に移行してからは初めて。
今回は
1)上限料金を見直して、公平な料金体系を前進させる
2)大口・多頻度割引を拡充
3)深夜割引を新しく導入する、という3テーマを推進する。
上限料金の見直しは、「首都高速の都心部通過交通を抑制する必要があることを踏まえて」実施する。現在、首都高速は料金距離35.7km超に対して上限料金(普通車1320円、ETCの場合)が設定されている。これが2022年4月1日から料金距離が55.0km/1950円(普通車、ETC利用の場合)に引き上げられる。首都高は「急激な負担増を避けるため」と説明しているが、上限料金は約48%の大幅アップになった。
もっとも、現在は首都高と横浜北西線を連続して利用した場合の上限料金は1800円。北西線〜首都高を頻繁に利用するドライバーにとっては、約8%のアップという計算になる。
なお、現金払いで首都高を利用する場合、原則として上限料金が適用される。
大口・多頻度割引は、現在の基本割引20%が25%に、中央環状線の内側を通行しない利用分の割引が5%から10%に拡大される。大口・多頻度割引の対象は月額利用料金が100万円以上で、コーポレートETCカードを利用するなどの条件があり、割引の対象外に設定されている区間もある。
深夜割引の採用は、比較的交通量が少ない深夜の時間帯の利用を促すことが目的に設定された。ETC利用車が対象で、深夜0時から早朝4時までの間にETCゲートを利用すると料金が20%割引される。ETCゲートの通過は入り口でも出口でもOK。深夜0時前に首都高に乗り入れた場合でも、4時前に出口を通過すれば料金は割り引かれる。
首都高が示した4月1日以降の料金例を見ると、川口JCT〜用賀(料金距離38.6㎞)を利用した場合、現在は上限料金の1320円。今後は通常料金は距離に応じた1420円、深夜割引が適用された場合は1140円となる。
料金所のETC化は「ETC利用率の拡大と社会情勢の変化」を踏まえて実施する。2021年9月時点でのETC利用率は96.7%と、現実的にはほぼ100%といえる程度に高まっている。また、料金所の収受スタッフに直接料金を支払うという「接触」の機会が減り、感染症対策としても効果が期待できる。料金所での一時停止が回避できれば、渋滞の原因が減るし燃費の向上(排出ガスの削減)にもつながる。
首都高では2025年度までに料金所の約9割(160カ所)をETC専用に変え、2030年度ごろにはすべての料金所をETC化すると発表している。