冬の長距離ドライブ。慣れていない人が安心・安全のために気をつけたいポイント

▲降雪地帯にドライブするときは冬用タイヤ/スノーワイパー/バッテリー点検など入念な準備を
▲降雪地帯にドライブするときは冬用タイヤ/スノーワイパー/バッテリー点検など入念な準備を
▲道路脇に表示されている警告看板を見落とさないように注意する
▲道路脇に表示されている警告看板を見落とさないように注意する

 年末年始は帰省や旅行など、長距離ドライブをする機会がある。長距離ドライブに慣れているドライバーなら、走行距離と休憩時間、疲労の度合いなどが経験的にわかる。たまにしか長距離を走らないドライバーは、どんな点に気をつければいいのだろうか。

▲ウインターシーズンは燃料タンクの残量にも注意を
▲ウインターシーズンは燃料タンクの残量にも注意を

 最も気をつけたい点は、きちんと休憩を取ること。2時間に1回程度を基本と考え、1回の休み時間は10分以上が好ましい。また、「疲れたな」と感じる前に休みを取るようにすることが大切だ。

 集中力が途切れてきたとか、眠気を感じるとか、あくびが出る、肩が凝ったなどの自覚症状があれば、速やかに休憩を。

▲こまめに休憩を取って集中力を維持して運転 
▲こまめに休憩を取って集中力を維持して運転 

 現在、トラックドライバーは、法律で連続4時間以上の運転は禁止されている。そして、運転4時間に対して連続10分以上の休憩を合計30分以上取ることが義務付けられている。

 4時間を3分割して80分ごとに10分の休憩を繰り返す、あるいは2時間ごとに15分休む必要がある。こうした運行スタイルは参考にしたい。

▲路面は気温0度に下がる前に凍結する恐れがある 3~5度の状態でも凍結の恐れありと考えておこう
▲路面は気温0度に下がる前に凍結する恐れがある 3~5度の状態でも凍結の恐れありと考えておこう

 高速道路を走っている場合は、SAとPAを効率よく利用し、こまめにトイレを済ませておくといい。

 なぜなら、どのタイミングで突発的な事故渋滞などに巻き込まれるかわからないからだ。不安な場合は、携帯トイレを用意しておく。

▲強い横風を受けると運転がふらつきかねない 走行中に確認できるリアルタイムの気象情報は重要
▲強い横風を受けると運転がふらつきかねない 走行中に確認できるリアルタイムの気象情報は重要

 クルマで移動する場合、長時間同じ姿勢で過ごすケースが多い。休憩時には軽いストレッチなどを行うように心がける。

 ストレッチする際は、かかとを上げ下げしてふくらはぎの筋肉を動かすと、エコノミークラス症候群対策に有効。エコノミークラス症候群の原因となる血栓は、足の静脈で作られるケースが多い。運動とともに、着圧タイプの靴下を履くという対応方法もある。

▲「地ふぶき」は積もった雪が風が舞い上がる現象 視界が悪くなるので要注意
▲「地ふぶき」は積もった雪が風が舞い上がる現象 視界が悪くなるので要注意

 長距離を運転するときは、目的地に向かう途中で天気予報の確認が大切だ。

 とくに冬は、雪や路面凍結という難題に直面する。降雪地に向かう際に冬タイヤの装着は必須だが、「どのあたりの地点から路面の状態が変わるのか」を把握しておくと安心。休憩時間にスマホの天気予報を確認するように心がけよう。SA/PAでの情報収集も役立つ。

▲北陸自動車道 運転に集中するようドライバーに呼びかける看板 富山空港を利用する飛行機が低空を飛ぶことで知られる
▲北陸自動車道 運転に集中するようドライバーに呼びかける看板 富山空港を利用する飛行機が低空を飛ぶことで知られる

 降雪地域を走る場合は、トンネル出口での天候の変化、橋梁の連結部分でのスリップ、濡れているだけに見えるブラックアイスバーンなど、危険が想定されるポイントは、知識として覚えておこう。

 冬タイヤと同様に、スノーワイパーへの交換も忘れずに。ガラスの凍結対策に有効な解氷剤は安全ドライブのための視界確保に有効。また、ドライブ前にバッテリーの点検を受けておくことは必須メニュー。バッテリーは寒冷な時期が苦手。ドライブ先でのバッテリー上がりを避けるためには重要な項目である。

▲つねに最新の渋滞情報にアクセスして無理のないドライブプランにアジャスト
▲つねに最新の渋滞情報にアクセスして無理のないドライブプランにアジャスト

 冬季は日没が早い。ヘッドランプは適切にONにして、自車の存在を周囲に知らせる。デフロスターや安全・運転サポートシステムによる電装品の電力消費の増加は、バッテリーの負担を増やしていることを忘れずに。

 大雪など、悪天候が予想される場合はドライブ計画を変更できるよう、旅行のプランには余裕を持たせておくといい。高速道路で1〜2台がスタックすれば、後続の車両全体に影響が出かねない。救助が受けられなければ延々と車中にとどまるほかない場合がある。そうした事態を避けるためには、天気予報の確認とドライブ計画の柔軟性が大切。万一に備えて出発時は燃料を満タンにしておくなどの配慮が欠かせない。

▲氷結したウィンドウはケミカル剤の利用でクリアな視界が確保できる 屋根から雪が落ちてくる場所には駐車しない
▲氷結したウィンドウはケミカル剤の利用でクリアな視界が確保できる 屋根から雪が落ちてくる場所には駐車しない

 ディーゼルエンジン車に乗っているドライバーは、寒冷地に向かう場合は、満タンでは出発せずに「降雪地帯のスタンドで給油」する。軽油は気温が低いと成分が固まる性質がある。
 
 これに対応するために、国内で流通している軽油は5種類に分かれている。北海道で1月に供給される軽油は、流動しなくなる温度(流動点)をマイナス30度以下に設定した特3号、東北はマイナス20度の3号、関東はマイナス7.5度の2号が好ましいと、JISのガイドラインで示されている。

▲降雪地帯で販売されている軽油は凍結しにくいタイプ(流動点が低い燃料)になっている
▲降雪地帯で販売されている軽油は凍結しにくいタイプ(流動点が低い燃料)になっている

 内燃機関を搭載していれば、車内の暖房はエンジンの排熱で温かくなる。ところが、電気自動車(BEV)の場合、熱源がない。車内の暖房を利かせようとすると、バッテリーの充電量が急速に減っていく。初めてウインターシーズンを迎えるBEVオーナーは、運転中の寒さ対策が必要だろう。

 降雪地域で屋外駐車する場合は、止める場所に注意しないと積雪に塞がれてクルマが動かせなくなる恐れがある。建造物の屋根から大量の雪が滑り落ちてこないかの確認も忘れずに。細かな注意事項が多いが、トラブルに遭遇してからでは遅いのである。

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