昨年来、新車の供給がスムーズにいっていない。半導体不足と新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、部品不足と物流の停滞が生産現場に影を落としている。
その一方で、新車発売後には注文が殺到し、「新型ヴォクシーは人気が高いS-Zグレードを注文すると、納車は9月ごろになるらしい」といった噂が聞こえてくる。
トヨタのランドクルーザーは「4年待ち」とか、「もうディーラーで受注を受け付けてくれないようだ」といった声も耳にする。
実際はどうなっているのだろうか。
あるトヨタのディーラーは、「お客様には車検を迎える数カ月前から、買い替え時期に関するご説明を差し上げています」と語る。
現在は6カ月ほど前から連絡をする場合もあるそうで、「納期が長くなっているので、車検のタイミングで新車が納車できない場合があります。買い替えを検討されているお客様には、早めに商談をスタートさせていただきます」という。
天災などと異なり、部品調達や感染症に関しては、現在から将来にかけてある程度の予測ができる。だから、リードタイムをとって対応しているのである。
ユーザー側も半導体不足や新型コロナウイルスの影響でクルマの生産が停滞している事情は把握している。生産工場で新型ウイルスに感染した従業員がいた場合、生産がストップしてもおかしくない。
こうした背景があるだけに、ディーラーからの提案は歓迎されているようだ。
そうはいっても、必ず納期に間に合うとは限らないだろう。ユーザーが希望する車種とは異なるモデルを、「納期が短いですよ」という説明とともに提案しているのだろうか。
「それはないですね。お客様が希望するモデルをご購入いただいています」という。
どうしても車検までに納車できない場合には、どう対応するのか。大きく分けて3種類の方法がある。
1)最低限の整備だけして車検を通し、納車を待つ
2)ユーズドカーを購入する
3)短期的にレンタカーを借りてもらう
新車を購入したいし、購入してもらいたいのだが、クルマがなくては物事は始まらない。
車検を通して乗り続けるという選択肢は、個人の場合はいいが、法人の場合は税金などの関係もあって、必ずしもベストの選択とはいえない。
ディーラーが貸し出せる代車にも限りがある。レンタカーを契約して、納車までの期間を過ごしてもらうのだそうだ。
新型ヴォクシーSZの事例を冒頭で紹介したが、実はヴォクシーよりもノアのほうが納期は短い傾向のようだ。
2月半ばの時点で「ノアは早ければ4〜5月に納車される」という。これは、ヴォクシーのほうが販売ボリュームが多いので、ウェイティングリストの差が納期に反映されているらしい。
店内に展示する車両を確保するのも苦労するという現状で、納期を短くしてもらう方法はあるのだろうか。
ディーラーのスタッフは「そうした秘策はありません。在庫車がない状態ですから、どうにもなりません」と嘆く。
それでも何か、短い納期で入手する方法はないものか。
「KINTO(キント)をご利用いただくと、比較的納期が短いようです」とトヨタのスタッフ。
話題のサブスクリプションサービスには、どうやら「KINTO専用車」があるらしく、結果としてスムーズに納車されるというのである。
トヨタのホームページで納車時期を確認してみた。2月上旬現在、ノアは「ガソリンが2〜3カ月、ハイブリッドは4カ月程度で工場出荷」と案内されている。KINTOの場合は「納車めどが1.5カ月〜2カ月」となっている。
確かにKINTOが優勢だ。また、工場出荷から納車まではいくぶん時間がかかることを考えると、KINTOのスピーディぶりが際立っているではないか。
KINTOに相談してみますか? それとも豊田章男社長にお願いしますか?