欧州自動車工業会(ACEA)は2月、欧州地域におけるパワーユニット別販売台数に関するデータを発表した。欧州は急速に電動化が進んでいるというニュースが伝わってくるが、実際の販売データはどのようになっているのだろうか。
かつて欧州で過半数を占めていたディーゼルエンジンは、187万7575台(前年比33.7%減)と、ガソリンエンジンの半分以下に縮小。シェアは17.7%(前年は26.2%)にまで下がっている。
欧州で最も売れているパワーユニットは、ガソリンエンジンである。414万7556台を販売し、シェアは39.1%を占めている。
とはいえ、2020年のガソリン車比率は47.0%だったから、一気に8ポイントほどシェアが縮小した。前年比18.3%マイナスである。
■欧州市場(EU+EFTA+英国)のパワーユニット別販売比率
パワーユニット=2021年/2020年
ACEAの発表データをもとに作成
バッテリーEV=11.2%/6.7%
プラグインハイブリッド=9.6%/5.6%
ハイブリッド=20.1%/12.7%
天然ガス=0.4%/0.5%
天然ガス以外の代替燃料=1.8%/1.2%
ガソリンエンジン=39.1%/47.0%
ディーゼルエンジン=17.7%/26.2%
総販売台数=10,601,003/10,801,628(前年比1.9%減)
内燃機関搭載車の縮小を埋めるように増加したのが、119万1072台を販売したバッテリーEV(BEV、燃料電池車=FCEVを含む、シェア11.2%)であり、102万2719台のプラグインハイブリッド(PHEV、シェア9.62%)、213万110台のハイブリッド(HEV、シェア20.1%)である。
台数でいうと、BEVは119万1072台(前年比63.5%増)、PHEVは102万2719台(同68.1%増)、HEVは213万110台(同55.6%増)だ。
BEV、PHEV、HEVの伸び率は合計15.9ポイントに達し、ガソリンとディーゼルで失ったシェア(16.4ポイント)をカバーしている状況だ。
調査会社JATOが発表した欧州マーケットでの車名別販売データが興味深い。
グレード別、パワートレーン別のデータではないので、プリウス=ハイブリッド、メルセデス・ベンツEQシリーズ=BEVのようにパワートレーンが特定できるモデルの販売台数をピックアップしてみよう。
BMW・iシリーズ(i3/i4/i8/iX/iX3)は4万5433台を販売、
メルセデスEQシリーズ(EQA/EQB/EQC/EQS/EQV)は4万1379台、
日産リーフは3万4985台、
アウディe-tron(e-tron/e-tron GT/e-tron GTスポーツバック)は3万5703台
VW・ID.シリーズ(ID.3/ID.4)は12万3921台、
テスラ(モデル3/S/X/Y)は16万7968台となっている。
最後に問題をひとつ。
2021年に欧州マーケットで最も売れたポルシェ・ブランドのモデルは何か?
SUV人気を反映して、カイエンかマカン。いや、ポルシェといえば、やはり911。
そんな回答が聞こえてきそうだ。
正解は、タイカンで、1万7237台を販売。マカンの1万6481台、911の1万6479台、カイエンの7608/カイエン・クーペの8911台(合計1万6519台)を抑えて、ポルシェ初のBEVスポーツが台数ベースでトップに立った。