イタリアのパワーユニット別販売状況を調べた。
2021年新車販売を見ると、BEVとPHEVが前年比倍増以上を達成。販売比率こそ5%に達していないが、大きく成長する可能性が感じられる。
イタリアの特徴は、天然ガス以外の代替燃料車(AFV)の比率が大きいこと。ここに分類されるクルマはLPG(液化石油ガス)やエタノール含有燃料を使う車両である。
■イタリア
パワーユニット=2021年の販売台数(前年比)/シェア
ACEAの発表データをもとに作成
バッテリーEV=67,283台(100.7%増)/4.6%
プラグインハイブリッド=70,472台(157.1%増)/4.8%
ハイブリッド=422,190台(90.2%増)/29.0%
天然ガス=31,418台(0.6%減)/2.2%
天然ガス以外の代替燃料=106,832台(14.3%増)/7.3%
ガソリンエンジン=437,044台(16.4%減)/30.0%
ディーゼルエンジン=323,010台(28.6%減)/22.2%
総販売台数=1,458,149台/1,381,846台(5.5%増)
イタリアは2018年に「2022年にBEVの普及台数100万台」を目標に掲げ。2019年3月から2021年まで、6000ユーロのEV購入補助金を設定した。車両価格が5万ユーロ未満のモデルを購入する場合に限り、この補助金が受け取れる仕組みだ。
2017年当時、イタリアで販売されたBEVは2022台。2022年にBEVを100万台普及させる計画を実現するためには、「相当な助成金が必要だろう」という指摘が多かった。
というのも、2018年のBEV販売は4999台、2019年1万663台、2020年3万2502台。2017年から2021年までの5年間のトータルで11万7469台にとどまっている。2016年のBEV販売は1377台、2015は1452台という実績から考えると、2016年時点での普及台数は最大でも2万台程度ではないか。
2022年に普及100万台となると、今年だけで85万台ペースで販売する必要がある。
イタリアの乗用車市場は2020年が約138万1000台、2021年が約145万7000台。
新型コロナウイルス感染症や、それにともなう物流・部品供給の停滞があるとはいえ、これまでの実績(2016年が約205万台、17年が約219万台)から判断すると200万台規模のマーケットである。新車販売の半数をBEVという急拡大は考えにくい。
「BEV普及100万台」を達成するために、イタリア政府は大型優遇策を打ち出すのだろうか。