2023年5月17日、ACEA(4月の欧州自動車工業会)は欧州マーケットの新車販売状況を発表した。
EU、EFTA、UKを含む4月の新車販売台数は96万4932台で、前年同期比16.1%増加だった。
欧州マーケットは2022年8月以来、9カ月連続で前年同月実績を超えた。新型コロナウイルスの流行、半導体不足、物流の混乱などの長く暗いトンネルを超えて、市場に活気が戻ってきた。
4月のマーケットで注目は、燃料別/パワートレーン別販売台数である。BEVの販売台数がディーゼルを抜いた。
■2023年4月の燃料別/パワートレーン別新車販売台数
電気:126,404(前年同月比49.2%増)
PHEV:70,644(同2.4%減)
HEV:246,483(同19.5%増)
ペトロール:370,604(同14.8%増)
ディーゼル:126,039(同0.8%減)
その他:24,758(同33.9%増)
つい数年までは欧州市場で過半数を占めていたディーゼルが、急速にシェアを縮小。一方で、2035年からの内燃機関車販売禁止という大きなテーマを掲げたマーケットで急速に伸びているBEVに販売台数で追い抜かれたのだ。パーセンテージで表示すれば、13.1%で横並びになるが、台数は365台とはいえBEVが上回った。2023年4月は、BEVとディーゼル販売が逆転した明瞭な分水嶺になるのか、しばらくは拮抗した状態が続くのか。これは目が離せない。
メーカー(グループ)別販売台数は、VWがトップ。前年同月を6万以上上回る好調ぶりを見せた。
■2023年4月のメーカー(グループ)別新車販売台数
VW:263,871(前年同月比31.6%増)
ステランティス:169,022(同8.2%増)
ルノー・グループ:97,980(同39.5%増)
ヒョンデ・グループ:89,804(同1.1%増)
BMWグループ:66,550(同4.4%増)
トヨタ・グループ:59,710(同増減なし)
メルセデス・ベンツ:51,659(同2.4%増)
フォード:40,998(同0.8%増)
日産:21,043(同10.3%増)
ボルボ:18,602(同-3.5%減)
テスラ:14,030(同856.4%増)
スズキ:12,682(同34.7%増)
マツダ:11,698(同16.4%増)
ジャガー・ランドローバー:10,880(同18.0%減)
三菱:3,933(同45.1%減)
ホンダ:3,147(同47.0%減)
ここで紹介したデータは4月単月の販売台数順で並べている。一方、1〜4月の累積販売台数で見ると、10万8470台を販売したテスラが、日産(10万704台)を抜いている。17万9487台を販売したフォードとテスラには開きがあるが、テスラの伸び率は前年同期比78.1%、フォードは3.3%。テスラがフォードを捉える日は近いのかもしれない。
欧州の5大マーケットの販売実績は次のとおりである。
■2023年4月の欧州5大市場の新車販売台数
ドイツ:202,947(同月比12.6%増)
英国:132,990(同21.9%増)
フランス:132,506(同11.6%増)
イタリア:125,824(同29.2%増)
スペイン:74,749(同8.2%増)