欧州自動車工業会(ACEA)は6月22日、EU(欧州連合)加盟国の電気自動車用充電スタンドの設置状況を明らかにした。
二酸化炭素削減のために、自動車分野においては電気自動車、プラグインハイブリッド車にカジを切ったといえる欧州は、どの程度チャージステーションが整っているのだろうか。
さて、EU加盟国で最も公共の充電拠点が多い国は、どこか? なお、EU全体の公共の充電拠点は30万7000カ所である。
ACEAの発表、上位5カ国は以下のとおり。
順位:国名=充電拠点数
1:オランダ=9万284
2:ドイツ=5万9410
3:フランス=3万7128
4:スウェーデン=2万5197
5:イタリア=2万3543
オランダは2010年当時からEVの導入に積極的だった。2009年に決定された「Eモビリティ行動計画」は「2020年までに国内でEV普及100万台」を目標に掲げていた。そのために、既存のインフラをEVに適応させる改革や、税金面でEVを優遇する措置を進めてきた。そうした努力が、充電拠点数に現れたといえる。
ドイツ、フランス、イタリアは自動車メーカーを有する国であり、各国とも急速に内燃機関から電動車に販売の中心が移っている。
スウェーデンは電動車の普及が進んでおり、今年3月はEVは9,142台、PHEVが6,807台を販売し、シェアの約55%を占めた。また、昨年9月以降はBEVとPHEVのシェアは、つねに半数を超えている。内燃機関だけで走行するモデルのシェアは約34%(ガソリン6,320台、ディーゼル3,494台)である。
ACEAは2030年までに「公共の充電拠点はEU内で680万カ所必要」と指摘している。現在の約22倍の拠点数が必要という計算だ。
2030年時点でドイツに必要な公共の拠点は207万4000、フランスは134万4000、オランダは57万7000、イタリアは50万3000、スウェーデンは31万3000拠点。クルマの保有台数、道路の総距離などを考慮しての試算だろうが、途方もない数字に思える。
前掲の拠点数をベースに計算すると、ドイツは現在の約35倍、フランスは約36倍、オランダは6.4倍、イタリアは約21倍、スウェーデンは13.3倍の充電拠点を設置する必要がある。
なお、公共の充電拠点とは別に、プライベートな充電拠点は2030年までにEUで2940万カ所が必要だという。ドイツに必要なプライベートな充電拠点は884万1000、フランスは590万7000と指摘されている。