テスラ・モデルYの日本販売がスタートした。国内仕様はRWDのスタンダードモデルが619万円(航続距離507km)、デュアルモーターAWDのパフォーマンスモデルが809万円(航続距離595km)。
モデルYのボディサイズは、全長×全幅×全高4751×1921×1624mm。車重は1930〜2000kg。テスラはバッテリーとモーターユニットに対して8年間(または走行19万2000km、どちらか早く到達したほう)の保証をつけている。日本で乗るには、十分な保証だろう。
テスラは6月の発売発表時点で、「RWDモデルは8月に納車できる」と説明している。納期が伸びがちな現在、これはうれしい。デュアルモーターAWDの納期は、「2022年後半」である。
ところで、テスラ・モデルYは、米国最大の新車マーケット、カリフォルニア州で売れに売れている。カリフォルニア州新車ディーラー協会(CNCDA)が5月に発表した今年第1四半期(1〜3月)の販売台数は42万5216台で、前年同期比13.8%のダウンだった。
そんな逆風もものともせず、テスラは昨年同期比で83.7%の販売増を達成している。車名別販売台数でナンバーワンは、テスラ・モデルY。2万182台を販売し、2位のテスラ・モデル3(2万1506台)とは約300台差。つまり、市場を牽引する龍虎のようなリーダーを抱えているのである。
今年第1四半期にカリフォルニア州で2万台以上販売したモデルは、テスラの2モデルだけ。車名別販売の第3位はトヨタRAV4の1万5990台。第4位はトヨタ・カムリの1万2257台、第5位はホンダ・シビックの1万1057台。フォードFシリーズは1万279台で、第6位。カリフォルニア州で1万台以上の販売を達成したモデルは、以上である。
CNCDAは乗用車を8カテゴリー、ライトトラック(ミニバンを含む)を12カテゴリーに分類している。テスラ・モデル3はニアラグジュアリー、モデルSはラグジュアリー&ハイエンドスポーツカーに、モデルYはラグジュアリー・コンパクトSUV、モデルXはラグジュアリー・ミッドサイズSUVにそれぞれ分類されている。注目は、モデルX以外はカテゴリーリーダーになっていること。
とくに販売2万台を超えたモデル3はカテゴリーシェア65.2%、モデルYは同55.5%と圧倒的な専有率になっている。モデルSに続く2位はBMW3シリーズ(2442台、シェア7.4%)、モデルYに続くのはメルセデスGLC(4050台、同10.3%)である。
モデルSはカテゴリートップだが、専有率は25.1%で、追撃するメルセデスCクラス(11.2%)やBMW5シリーズ(11.0%)らを引き離している。モデルXはカテゴリー5位、ここでのトップはレクサスRX(4409台、20.6%)である。
カリフォルニア州のメーカー別販売台数を見ると、トップはトヨタの7万3941台(シェア17.4%)、レクサス(1万2228台)を加えると、8万6169台(20.3%)になる。2位はテスラの4万8038台(11.3%)だ。テスラは4モデルのラインアップで、カリフォルニア州で2番目の販売規模を誇るメーカーになったのである。
第1四半期に1万台以上を販売したメーカーで前年同期比プラスをマークしたのは、BMW(1万6168台/1.1%増、MINIの1446台を加えると1.8%増)とキア(1万8893台/0.4%増加、ヒョンデ1万3638台とジェネシス1490台を加えると5.6%減)である。テスラの成長が突出している状況がわかる。
テスラの販売拡大は、カリフォルニア州のBEVシェアを押し上げる推進力にもなっている。今期のBEV販売は6万2082台(テスラのシェアは77.4%)、マーケットシェアは14.6%。前年同期は3万9946台(シェア8.1%)だったから、BEVマーケットは55.4%増という計算になる。
ここで、もしもテスラがなかったらどうなるか。引き算と割り算をしてみよう。第1四半期の販売台数は37万7178台に減少し、BEVセールスは1万3990台になる。この場合のBEVシェアは3.7%だ。テスラがマーケットの在り方を変えるほどの存在感を示していることがよくわかる。
カリフォルニア州の動向は、日本車の開発状況や世界の自動車メーカーの在り方に影響を及ぼす。カリフォルニア州に大きなインパクトを与えるテスラの販売状況から目が離せない。