新型センチュリーが切り拓く、トヨタの新たな未来

 

 

 

 

新型センチュリーが提示するもの

 

 新型センチュリーが登場した。スタイルはセダンではなく新ボディ形状と呼ぶ。大径タイヤとワゴン風のボディからSUVだと感じる人もいるだろうが、トヨタはSUVとあえて呼ばず、セダンとわけた新型だと主張している。

 新型センチュリーはTNGAのGA-Kプラットフォームをベースに開発された。GA-Kプラットフォームはカムリ、RAV4あたりからクラウン・クロスオーバー、アルファード、ベルファイア、そしてセンチュリーまでカバーする。新型センチュリーの場合は後席とラゲッジルーム間にセパレーターを設け、ボディを強化するとともにラゲッジルームからのノイズを遮断。乗り心地と静粛性をアップしている点が大きな特徴だ。

 この改良によりセダンに近いボディ構造を備えた3BOXワゴンといえるのだが、そのようなことは重要ではない。大事なのはユーザーニーズに応えられるクルマか、という点だ。

 この点、新型センチュリーは、セダンでは成し得なかった後席空間を手に入れ、身長190㎝の乗員が足を延ばしてほぼフラットに休めるし、後席で仕事をしたり、着替えたりする余裕も十分にある。新時代のセレブにふさわしいショーファーカーの必要な要件を備えている。

 さらに印象的なのは、発表会でお披露目したスライドドア仕様だ。

 

 ユーザーが希望すれば、GRファクトリーでスライドドア仕様に変更可能。フルオープン仕様にもできるという。

 ショーファーカーを購入する富裕層には、自分だけの仕様がほしいというユーザーもいるだろう。それができる、ということを全世界に示した。

 ラージクラスのショーファーカーは、世界ではロールス・ロイスを筆頭にマイバッハやベントレーもある。新型センチュリーはPHEVだが、ベントレーもPHEVを用意している。しかしスライドドアやフルオープンのショーファーカーは、今のところ新型センチュリーだけが可能だ。

 世間ではトヨタのEV戦略を心配する声も聞かれるが、新型センチュリーのような他社が真似できないジャンルを強化する手法は、トヨタの商品戦略上、とても重要なことだろう。

 

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