クルマのナンバープレート化がITで多機能に

米国で実用化が始まったデジタルプレートの可能性

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▲Rプレートはインターネットを経由して各種情報と連動が可能 写真は「盗難車」であることを示している

 世の中はデジタルの時代。ならば、クルマのライセンスプレートだってこれからはデジタルで、という新しいアイデアを提供する企業が登場した。米国のリバイバー社だ。

 同社はIoT(インターネット・オブ・シング=モノをネットでつないでコネクテッド機器にする、という考え方)にクルマを組み込むため、ライセンスプレートに目をつけた。そして世界初のデジタルライセンスプレート、Rプレートを開発、昨年からカリフォルニアで実際に導入を開始した。

 リバイバー社のネビル・ボストンCEOは「世界には20億台のクルマが存在する。これをライセンスプレートを通してIoTに組み込むことで、世界最大級のネットワークの構築が可能だ」と、このアイデアを思いついたという。

 ではライセンスプレートがデジタル表示になることで、具体的にどんなメリットがあるのか。まず、米国の場合、車両登録を毎年行い、DMV(陸運局に相当する機関)から送られてくるステッカーをプレートに貼る必要がある。このステッカーの有無で、車両がきちんと登録されているのかどうかが確認できる。

 Rプレートを使えば、毎年登録されているクレジットカードから自動的に登録費用が引き落とされ、更新情報は直接プレートに送られる。ステッカーを貼らなくても、デジタル表示で登録情報が確認できる。米国では、登録更新の通知やステッカー送付は郵便で行われる。Rプレート導入で、登録を忘れていた、郵便事故で届かないなどのトラブルが防げるし、何よりも手間が省ける。

 次に、デジタル表示によりさまざまな情報をライセンスプレートで発信できるようになる。たとえば、自分のビジネスの宣伝が可能だし、個人的なメッセージ、米国で多い「赤ちゃんが乗っています」「○○大学の卒業生です」などの情報がプレートで表示できる。  もうひとつ大事なのは、犯罪防止に役立つ、という点だ。もしクルマが盗まれたら、スマホアプリから自車プレートに「盗難車です」というメッセージが送れる。スマホのGPS機能で盗難車の位置も特定できる。

 米国では子供の誘拐事件が起きたとき、"アンバーアラート"と呼ばれる緊急信号がすべてのスマホユーザーに送られる。多くの誘拐はクルマによる連れ去りだから、Rプレートにアンバーアラートが表示されれば、多くのドライバーに迅速に危機の発生が通知できる。

 Rプレートそのものがクルマから外された、壊されたという場合は、オーナーのスマホにすぐに信号が送られる。まさに盗難に対しては非常に強い機能を持っている。  カスタマイズ面は、現時点では白地に黒表示、あるいは黒地に白表示などが選べるほか、文字メッセージが表示できる。近い将来、イラストや絵文字なども表示できるようになる予定だという。そうなるとライセンスプレートを広告として展開するビジネスが登場するかもしれない。

 Rプレートはパーキングメーターと連動して自動的に駐車料金を支払い、その情報(何時何分まで料金を支払っている、など)をプレート上に表示できるようになる可能性がある。時間を超過しても自動的に延長料金を支払うから、パーキングマーシャル(駐車専門の見回り警察官)から違反チケットをもらう確率はゼロとなる。

 現在、Rプレートを正式に認めているのはカリフォルニア州とアリゾナ州だけ。カリフォルニア州ではデジタルプレートを見かける機会が多くなった。今後、全米で確実に広がるだろう。

 Rプレートの価格は、テレマティクス機能が付いたプロ仕様が699㌦(約7万7000円)+設置費用。またユーザーはデジタル機能を利用するために毎月7㌦(約770円)を払う必要がある。やや高い、という印象はあるが、今後、全米に広がり量産態勢に入れば価格は下がる可能性は高い。なお、機能の一部が制限される廉価モデルもある。

 1カ月7㌦で利便性とセキュリティを購入するか、従来の金属製ライセンスプレートでいいと思うか、クルマのオーナーの考え方がプレートに表れそうだ。  各地に設置される監視カメラに代表されるように情報管理社会が進展すると、日本ではクルマのフロントガラスの車検シールが狙われるのだろうか......。

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