JVCケンウッドは、10月5日、計4商品・シリーズで「2023年度グッドデザイン賞」を受賞したと発表した。そのうち、NISSAN×KENWOOD リユースバッテリー内蔵ポータブル電源は、特に高い評価を得た「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」を受賞した。
グッドデザイン賞は、1957年に創設された日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みだ。デザインを通じて産業や生活文化を高める運動として、国内外の多くの企業やデザイナーが参加している。これまでの受賞件数は50,000件以上にのぼり、受賞のシンボルである「Gマーク」は、よいデザインを示すシンボルマークとして広く親しまれている。
グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)を受賞した「NISSAN×KENWOOD リユースバッテリー内蔵ポータブル電源」は、日産、フォーアールエナジーおよびケンウッドの3社で共同開発した、電気自動車「日産リーフ」の再生バッテリーを利用したポータブル電源だ(2023年内に発売予定)。暑さや寒さに強く車載可能で、長期保管が可能なため災害時などの非常用電源としても活用できる。また、使用済みバッテリーの再利用により、製造時のCO2発生を軽減する。
デザインは、3社の強みを生かしながら、脱炭素社会の実現に向けた「サステナブルなポータブル電源」を具現化した。従来の使い方に加え、車載環境でも安心・安全に使用できる設計となっており、高い堅牢性とロングライフデザインをテーマとしている。本機を積載するさまざまなシーンを想定し、誤動作防止に配慮するとともに、耐久性のある造形と表面処理を採用。さらに、収納式ハンドルに加え、本体底面にも指掛かり形状を施すことで、重量物でありながらアウトドア、車載、防災用品として手軽に取り扱えるデザインとしている。
■審査員からのコメント
EVの普及と製造から二次利用を含んだバッテリーの循環は、分けて考える事ができない一続きの課題である。本製品は、その課題にアプローチする具体的な一手として、そして、主要なプレーヤーが共同開発した循環型のプロダクトである点に大きな評価が集まった。 脱炭素社会の実現に向けた様々なアプローチが現在進行形で検討される中、本製品のように、自動車と家電という既存のカテゴリーの境界も解けていく事だろう。実生活に定着し、大きな波紋として広がっていくことに期待を持たずにはいられない製品である。
また、計4商品・シリーズで「2023年度グッドデザイン賞」を受賞したプロダクトを紹介する。
グッドデザイン賞を受賞したVictorポータブル電源シリーズ 「BN-RF1500/RF1100/RF800/RF510」は、安全性に配慮し、可燃性が低く繰り返し充放電に強い「リン酸鉄系リチウムイオン充電池」を採用し、コンセントを挿したままの使用に対応したポータブル電源だ。大容量・高出力の「BN-RF1500」(ハイパフォーマンスモデル)および「BN-RF1100」(パワフルモデル)、持ち運びやすさも両立した「BN-RF800」(スタンダードモデル)、軽量な「BN-RF510」(ミディアムモデル)と幅広いラインアップを展開している。
■審査員からのコメント
今までポータブル電源と言えばアウトドアやイベント、非常用など限られた用途として考えられてきた。この製品は日常的に家で使用しながら常に充電をして、いつでも外に持ち出せるように考えられている。年に数回、非常時のみのために用意するのではなく、イベントや非常時を日常生活の延長線上にあると考える「フェーズフリー」の考え方で開発されている点が新しいアプローチである。シンプルな造形にオフホワイトを採用し、ケーブルの配置などにも工夫があり、インテリア空間とのマッチングを考慮した点を評価した。
グッドデザイン賞を受賞したKENWOOD アマチュア無線機 「TH-D75」は、144/430MHzデュアルバンダーを先代機からさらに進化させた、アマチュア無線ハンディトランシーバーだ。アウトドア運用に対応する機能を搭載しています。(2024年発売予定、商品詳細は後日発表予定)。
■審査員からのコメント
同メーカーは、昔よりアマチュア無線機市場を作り上げた確固たる歴史がある。ユーザー数だけを見たら残念ながら先細り傾向ではあるが、いまだにアマチュア無線ファンは全世界で約300万人、日本においては40万弱のユーザーがいるといわれ、根強いファンの期待に応える形でデザインされた本機はコンパクトかつ堅牢性のあるデザインと従来から大きく変わらない操作性や大きな表示液晶をバランス良く兼ね備える。巣篭もり需要によって新たなユーザー数が微増するなど、少し明るい話も出てきたが、出戻りユーザーや初心者に楽しさをどう伝えていくかなども同社の今後に期待せずにいられない。
グッドデザイン賞を受賞したKENWOOD デジタルルームミラー型ドライブレコーダー 「DRV-EM4800」は、大画面12V型IPS液晶を採用したデジタルルームミラーを搭載する、前後撮影対応2カメラドライブレコーダーだ。ドライブレコーダーとして前方・後方の走行映像の録画を行うとともに、デジタルルームミラーとしてリアカメラで撮影する映像をリアルタイムに高画質で大画面に映し出し、荷物や車体などで生じる死角が少なく、広い視界で後方確認が可能になっている。
デザイン開発にあたり、さまざまな車種のルームミラー形状を徹底的に調査し、最も一般的な形状である「膨らんだ四角形(Inflated rectangle)」を見出した。この形状を採用することで、多くの車種にストレスなく、スムーズに取り付けることを可能としている。また、安全性と車内の雰囲気との調和を考慮し、本体外周部はタッチパネルのガラス面も含めてラウンド形状を採用。快適なドライビング体験を提供するため、違和感を感じることのない快適な車内空間の実現を目指した。
■審査員からのコメント
丁寧に考え抜かれた商品。どの車体に装着しても違和感がないようなフォルム、通常のミラーを超えた視界、音声操作の安全性、自由度高い別体カメラの取り付け方など、痒いところに手が届く全体設計を評価したい。