顧客満足度に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. パワー ジャパンは、「J.D. パワー 2023年日本自動車テクノロジーエクスペリエンス(Tech Experience Index、略称TXI)調査」の結果を発表した。
先進機能・装備の充実度とクルマの所有者の評価に基づいて算出するブランド別総合イノベーションランキングは、レクサスが初の1位となった。レクサスはこの1年で各種機能の装備率が高まり、ランキング対象14ブランド(ラグジュアリー、マスマーケットブランドを合わせて)の中で最も先進機能・装備が充実し、かつ利用者評価も最も高いブランドになった。
2023年は、前年調査と比較可能な20機能・装備中、14の機能・装備で前年を上回る装備率となり、車両に装備される先進技術・装備の種類や数は年々増えていることが確認された。装備率が高いのは、「車載ドライブレコーダー」(70%)、「後退時衝突被害軽減ブレーキ」(41%)、「自動運転支援」(36%)などである。また、前年に比べて装備率の増加幅が大きかったのは、「リアシートリマインダー」(2022年:4%→2023年:8%)、「アクティブレーンチェンジアシスト」(2022年:1%→2023年:4%)、「フロントクロストラフィックワーニング」(2022年:1%→2023年:4%)などが挙がった。
前年調査と比較可能な14の機能・装備に関する利用時の不具合指摘数平均は13.3PP100だった。これは車両100台当たり13.3箇所の不具合指摘数を示している。前年の11.9PP100に比べ増加しており、これは先進機能・装備を利用する上での不具合経験が増えていることを表している。
本年調査において特に不具合指摘数が多かった機能・装備は、「ジェスチャーコントロール」(55.9PP100)、「顔認証」(36.5PP100)、「ダイレクトドライバーモニタリング」(23.4PP100)などだ。これらの機能・装備は、次回購入車両への再装備意向が低く、「必ず欲しい」と回答する割合は「ジェスチャーコントロール」で6%、「顔認証」と「ダイレクトドライバーモニタリング」は18%だった。機能の改善あるいは装備要否の見直しが必要のようだ。
また、若い年代を中心に、車載ナビからスマートフォンミラーリングへの機能置換が始まっていることが分かってきた。
J.D. パワーが実施した別調査、「J.D. パワー 2023年日本自動車商品魅力度調査」において、ナビゲーション機能を利用する場合に好んで使うシステムを質問したところ、「車載ナビゲーションシステム」と回答する割合が79%と大半であった。ただし、この割合は徐々に減っており(2021年:82%、2022年:81%、2023年:79%)、代わって「Android Auto/Apple CarPlay」と回答する割合が増加している(2021年:3%、2022年:5%、2023年:7%)。
この傾向は39歳以下の年代層で更に顕著で、車載ナビゲーションシステムの使用率は2021年から2023年の2年間で75%から68%に減少し、Android Auto/Apple CarPlayの使用率が6%から13%に増加している。アメリカで2023年8月に発表した同調査*1では、車載ナビゲーションシステムの使用率は43%、Android Auto/Apple CarPlayの使用率は44%となり、スマートフォンミラーリングシフトは日本に比べ大きく進んでいる。日本においてもアメリカ同様にスマートフォンミラーリングへの移行が進むのか、今後のトレンドが注目される。
■J.D. パワー 2023年 日本テクノロジーエクスペリエンス調査℠概要
年に一回、新車購入後2~13ヶ月経過したユーザーを対象に、自動運転支援をはじめとする各種機能・装備について、購入した新車の装備有無や利用上の不具合経験、利用評価、今後の意向等を捉えた調査。機能・装備毎の不具合経験と利用評価を元にエグゼキューションインデックスを算出。さらに、すべての機能・装備別エグゼキューションインデックスと装備普及率を元に、各ブランドがどれだけ迅速、効果的に新しい機能・装備を市場導入しているかを示す総合イノベーションインデックスを算出。今回で3回目。
実施期間:2023年5月~6月
調査方法:インターネット調査
調査対象:新車購入後2~13ヶ月経過したユーザー(18歳以上)
調査回答者数:21,647