英国のEU離脱騒動でマーケットが受ける深刻なダメージ
▲トヨタ・カローラ・ツーリング トヨタ・グループ(トヨタとレクサス)の4月実績は前年同期を超えた
欧州新車販売の落ち込みに歯止めがきかない。4月実績は8カ月連続の前年比マイナスを喫した。そんな中、5大主要国のうち、フランス、イタリア、スペインの新車販売が回復を遂げたのが、明るいニュースといえる。
4月の欧州全域(EU+EFTA全30カ国)の新車(乗用車)販売台数は134万4863台。前年同月比は0.3%減と、8カ月連続で前年実績を下回った。
そんな中、フランスは前年同月比0.4%増の18万819台と、2カ月ぶりの前年実績超え。イタリアは17万4412台を売り上げ、同1.5%増と、4カ月ぶりに回復。スペインは同2.6%増の11万9417台と、8カ月ぶりに前年実績をクリアした。
一方、ドイツは31万715台にとどまり、前年同月比1.1%減と、2カ月連続で前年実績を割り込んだ。英国は16万1064台で、同4.1%減と、2カ月連続の前年実績割れ。
主要9社の販売実績は、VWグループ(アウディ、セアト、シュコダなどを含む)が7カ月連続で首位を守った。販売台数は33万5745台、前年同月比は3.4%減と、8カ月連続で前年実績を下回った。主力のVWは同6.8%減の15万2376台と、2カ月連続のダウン。アウディは同5.8%減の6万5473台と、2カ月ぶりのマイナスとなった。
2位はフランスのPSAグループ(プジョー、シトロエンなどを含む)。前年同月比1.3%増の21万8645台と、2カ月ぶりに前年実績を上回った。ブランド別の販売実績は、プジョーが同1%減の8万61222台と、2カ月連続のマイナス。シトロエンは同14.2%増の5万8621台と、5カ月連続で前年実績を上回った。オペルは7万397台を販売し、同3.1%減と、ダウン傾向にある。
3位はルノー・グループ(ダチアなどを含む)。販売台数は14万5240台で、前年同月比は1.4%増と、3カ月連続でアップした。主力のルノーは同5.4%減の9万854台と、8カ月連続の前年実績割れ。ダチアは同14.7%増の5万3446台と、4カ月連続のプラス。
44効果が持続する。9万1182台を販売し、前年同月比は2.9%増と回復。ヒュンダイは同3.8%減の4万7336台、キアが同2.1%増の4万3846台だった。
5位はFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)グループ(ランチアやアルファロメオなどを含む)で、3月の7位から上昇した。販売台数は8万8755台で、前年同月比は3%減と、8カ月連続でダウン。ブランド別は、主力のフィアットが同0.1%増の6万4071台と、8カ月ぶりにアップ。アルファロメオは同40.3%減の4673台と、8カ月連続のマイナス。ランチア(クライスラーを含む)は同30%増の5745台と、6カ月連続のプラス。ジープは同5.3%減の1万3672台と、3カ月ぶりに前年実績を割り込んだ。
6位はBMWグループ(MINIを含む)で、3月の4位から後退。販売台数は8万4834台で、前年同月比は7.1%増と、6カ月ぶりに前年実績を上回った。BMWは同11.7%増の6万9635台と、6カ月ぶりにアップした。一方、MINIは同10%減の1万5199台と、4カ月ぶりに前年実績を下回った。
7位はダイムラー(メルセデス・ベンツとスマート)。販売台数は8万4293台で、前年同月比は4.7%増と、2カ月ぶりに前年実績を上回った。ブランド別は、メルセデス・ベンツが同2.8%増の7万4166台と、2カ月ぶりにアップ。スマートは同21.5%増の1万127台と、2カ月ぶりのプラスとなった。
8位はフォードで、8万1873台を販売。前年同月比は5.1%減と、8カ月連続の前年実績割れ。
9位はトヨタ・グループ(レクサスを含む)。6万6599台を販売し、前年同月比は1.8%増と、5カ月ぶりのプラス。ブランド別は、トヨタが同0.3%増の6万2048台と回復した。レクサスは同28.3%増の4551台と、2カ月ぶりに前年実績を上回った。
▲日産は3月カナリア諸島(スペイン)「ベストカー」に選ばれた カナリア諸島がベストカーの選定を開始して20周年目で電気自動車として初の大賞受賞になった
トヨタ以外の日本メーカーは、日産が3万1727台にとどまり、前年同月比は17.1%減と、8カ月連続のマイナス。マツダも同0.4%減の1万7958台と落ち込んだ。ホンダは9249台にとどまり、同2.8%減と、8カ月連続で前年実績を割り込んだ。一方、三菱は同21・4%増の1万2011台と、前年実績超え。
19年1~4月は、549万1050台の販売にとどまり、前年同期比は2.5%減。フォードが英国エンジン工場の閉鎖を決めるなど、英国のEU離脱問題が、欧州新車販売に影響を及ぼしている。