市場回復の特効薬はないか!? 中国マーケットが心配だ
▲VWと中国第一汽車の合弁会社(一汽/FAW)が展開する長春工場のライン この工場でアウディA4L/A6L/Q5Lなど中国市場で好まれるロングホイールベース車(モデル末尾のL)を生産している
中国の新車セールスは、依然トンネルに入ったまま、出口が見えない状況だ。2018年7月以降、11カ月連続の前年実績割れ。しかも、5月は前年同月比16.4%減と、この11カ月で最大の下げ幅を記録した。
中国汽車工業協会の発表によると、5月の新車販売台数は、商用車と輸出を含めて191万3000台。その中で、乗用車は156万1000台。前年同月比は17.4%減となり、中国の景気の悪化や米中の貿易摩擦の影響で、ダウントレンドが続いている。
そんな中、日系メーカーは4社中2社が前年実績超え。日系メーカー首位はトヨタ。13万8500台を販売し、前年同月比は12.1%増と、14カ月連続で前年実績をクリアした。4月からの付加価値税の引き下げで、高級車のレクサスが前年実績の約2.6倍の1万6000台と、大幅増を維持した。19年1~5月は前年同期比10.9%増の62万9000台を売り上げた。
2位はホンダで、13万6486台を販売。前年同月比は37.4%増と伸びて、3カ月連続のプラス。シビック、アコード、CR-V、フィット、クライダー、XR-Vの6モデルが、1万台以上を販売。アコードは1万8252台を売り上げた。ハイブリッド車も好調。アコード・ハイブリッドが同151%増の2686台、CR-Vハイブリッドは同38.6%増の2674台を販売した。19年1~5月は、前年同期比19.1%増の59万7027台を販売した。
3位は日産。12万1895台で、前年同月比は4.8%減と、2カ月連続で前年実績を割り込んだ。コンパクトカーのティーダは同28・5%増の6755台。SUVは、エクストレイルが同2.5%増の1万8365台だった。19年1~5月は、前年同期比0.4%減の58万7197台を販売した。
マツダは1万7385台にとどまり、前年同月比は29%減と、大幅ダウン。19年1~5月は、前年同期比31.4%減の8万6771台だった。
プレミアムブランドは、メルセデス・ベンツが5万5589台をセールスしたものの、前年同月比は0.9%減と、3カ月ぶりに前年実績を下回った。販売の中心は、EクラスとCクラスのロングホイールベース車。19年1~5月累計で、過去最高の28万7639台を記録した。前年同期比は1.6%増と、前年実績をクリアしている。
▲メルセデスは2018年4月に開催されたオートチャイナで新型Cクラスを発表した 中国新車市場はこの当時は右肩上がりで販売を伸ばしていた
アウディは4万7927台を販売。前年同月比は7.4%減と、2カ月連続で前年実績を割り込んだ。Q3や中国専用のロングホイールベース車のA6Lが、モデルチェンジのタイミングにあることが影響している。その中で、A4シリーズは同9.2%増の1万4102台と好調をキープ。A8Lも同87.3%増の1424台と、支持を集めた。19年1~5月は、前年同期比7.4%減の25万3625台を販売した。
ボルボカーズは1万2425台を販売。前年同月比は17.4%増と、3カ月連続の前年実績超えだった。現地生産のXC60とセダンのS90が販売の中心。19年1~5月は、5万4503台を売り上げ、前年同期比は9.5%増と、前年実績をクリアした。
19年1~5月の中国新車販売台数は、1026万6000台。前年同期比は13%減だった。マツダチャイナの渡部宣彦董事長(代表取締役に相当する)は、「中国の自動車市場は依然として低迷しており、マツダの販売は引き続き困難に直面している」としたうえで、マツダのブランドや製品の優位性をユーザーに伝えるための活動を強化し、19年度中に「次世代技術を採用した新製品の発売を計画している」と語り、今後の新車販売の回復に期待を寄せている。中国市場の不振は、世界の自動車メーカーに悪い影響を与えかねない。いつ不振から脱却するか。