Hyundai Motor Group、ソウルのスマートオフィスビルにおけるロボットサービスの提供強化

 Hyundai Motor Groupは6月20日、Hyundai MotorとKiaが共同開発した配送ロボット「DAL-e Delivery」と、Hyundai WIAが開発した「駐車ロボット」を韓国ソウルのスマートオフィスビル「Factorial Seongsu」に導入したと発表。合わせてロボットに関する動画も公開された。

Factorial Seongsu

▲韓国ソウルのスマートオフィスビル「Factorial Seongsu」

 Hyundai Motorグループは、2023年5月に韓国の不動産投資会社IGISとロボットフレンドリービルの商用化に向けた業務契約を締結し、ロボットの導入に向けて準備を進めてきた。Factorial Seongsuがその第1弾となる。

「DAL-e Delivery」は、オフィスやショッピングモールなどの複雑な環境での使用を想定した配送ロボットだ。

DAL-e Delivery

▲配送ロボット「DAL-e Delivery」

 DAL-e Deliveryの特徴として、ビル施設内を移動する自律走行機能が挙げられる。エレベーターやドアの管理システムとシームレスに接続し、最適経路をリアルタイムで判断し、配送サービスを素早く行えるようにしている。

 顧客が携帯アプリから飲み物を注文すると、DAL-e Deliveryが地下フロアのカフェで飲み物を受け取り、顧客が選択したオフィススペースまたは会議室に届ける。

 配送先に到着すると、カメラと人工知能(AI)による顔識別技術を駆使して受け取るべき人物を識別。この顔識別技術はRobotics LABが開発したもので、99.9%の精度を誇る。受取人の識別後は、収納トレイが自動で前進して飲み物を届ける。

DAL-e Delivery

▲DAL-e Delivery

■Hyundai MotorとKia Robotics LAB長 Dong Jin Hyun(ヒョン・ドンジン)常務 コメント
「DAL-eの本格的な配送サービスによって、Factorial Seongsuをわれわれのロボット総合ソリューションを利用した最初のビル施設にすることを目指しています。われわれはロボットサービスをより多くのビル施設に拡大し、こうした技術的強化を空間イノベーションに関する主な評価基準のひとつとしていくことを計画しています」

DAL-e Deliveryの積載能力は高く、コーヒー16杯と最大10kgの荷物を一度に運ぶことができる

▲DAL-e Deliveryの積載能力は高く、コーヒー16杯と最大10kgの荷物を一度に運ぶことができる

 同グループは「ロボット総合ソリューション」開発プランを提案している。これは、各種ロボットと顔認識システムをスマートビル施設内で利用するというもので、Factorial Seongsuにも取り込まれている。

 また、「マルチ連携型管理システム」を開発し、同ロボット総合ソリューションにおいて複数の配送ロボットを管理することも予定だ。

 DAL-e Deliveryサービスはビル利用者の利便性を大幅に向上すると同グループは見込んでいる。また、導入台数を増加する予定で、将来的には提供内容を書類や郵便物の配送サービスにまで拡大することも視野に入れている。

駐車ロボット

▲駐車ロボット

 Hyundai WIAの「駐車ロボット」は、自律動作によって最大2.2トンの車両を毎秒1.2メートルの速度で駐車することができる。

 このロボットはあらゆる方向に移動可能なよう設計されており、駐車が困難な狭いスペースでも車両を移動させられる。これは、同じ駐車スペースでも、駐車台数が増えることを意味し、スペース利用効率が大幅に改善する。

 顧客がクルマを使う際には、駐車ロボットが指定の駐車場から車両を取り出し、顧客がクルマを戻したら自律動作で駐車する。自律型駐車ロボットが韓国で商用化されたのは今回が初めてだ。

自律型駐車システムはフラットで幅が広いロボット2台で構成されており、車の下に滑り込んでから持ち上げ、車輪を動かす

▲自律型駐車システムはフラットで幅が広いロボット2台で構成されており、車の下に滑り込んでから持ち上げ、車輪を動かす

■Hyundai WIA モビリティソリューション計画グループ長 Shindan Kang(カン・シンダン)常務 コメント
「Hyundai WIAの自律型駐車ロボットは、昨年にHyundai Motor Group Innovation Center Singapore(HMGICS)によって商用化に成功しました。その性能と安全性は、Hyundai Motor Group Metaplant America(HMGMA)に対する今年の大規模導入に向けた準備の中で十分に検証されています。最も先進的な駐車ロボット技術をFactorial Seongsuで経験していただけると確信しています」

 この自律型駐車システムはフラットで幅が広いロボット2台で構成されており、クルマの下に滑り込んでから持ち上げ、車輪を動かす。厚みはわずか110mmで、あらゆる車両に対応。

 同駐車ロボットにはカメラが搭載されており、車両のホイールサイズや持ち上げる位置を正確に認識。また、LiDARセンサーを使用して周辺の人物を検知し、事故を防止すると同時に安全性を向上する。

スマート駐車管理システムと自動充電ロボット(ACR)

▲スマート駐車管理システムと自動充電ロボット(ACR)

 Hyundai WIAは最大50台の駐車ロボットを同時管理できる「スマート駐車管理システム」も開発中だ。

 このシステムによって、駐車ロボットは最適経路を通って移動し、複数の車両を効率的に配置できるようになる。将来的には、同システムは人間が止めた車両と無人駐車場の車両状況の両方を検知して対応できるようになるだろうと予想している。

「スマート駐車管理システム」について簡単に説明すると、まず自律型駐車ロボットは車両を充電エリアに移送する。

 ACR(自動充電ロボット)はそのエリアでクルマのナンバープレートを識別し、クルマのバッテリー状態を検査してから充電。ACRは深層学習を応用した充電ポート認識機能を備えており、この機能でEVの充電ポートを認識する。

 ACRによる充電器の挿入および取り外しは、車両のバッテリー状態に応じて自動で行われる。充電プロセスが完了すると、駐車ロボットが車を駐車場に戻す。

 今年度の第3四半期より、駐車ロボットとHyundai MotorおよびKiaのACRの連携運用によるEV充電サービスを提供する予定だ。

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