ドイツでBEVの勢いに翳りが見えてきたが、その一因に挙げられるのが、新車購入に伴う補助金の打ち切りである。
2023年12月時点で、政府が負担していた最高4500ユーロ(約72万円)の補助が打ち切られたのだった。本来は2024年末に打ち切る予定だったが、予算の都合で1年前倒しになったのである。メーカーが負担する補助金は継続されたが、ユーザーの立場でいえば、いきなりBEVが値上がりしたようなものである。 日本の場合、BEV購入に伴う補助金はどのようになっているのか。最もわかりやすいのは、CEV補助金だろう。
CEV補助金は経済産業省が実施する「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」で、事務局は一般社団法人次世代自動車振興センターが務めている。予算規模は令和5年度の場合で1291億円。
CEV補助金の対象はBEV(電気自動車、上限額85万円、軽自動車の場合は55万円)とPHEV(プラグインハイブリッド、同55万円)、そしてFCEV(燃料電池車、同255万円)である。
BEVで補助金最高額85万円の対象車は、日産リーフとアリア、トヨタbZ4X、レクサスUX300e、RZ300e、RZ450e、テスラ・モデル3(AWDロングレンジ)、メルセデスEQA(一部)である。ただし、車両本体価格が850万円を超える場合は、価格係数0.8を乗じて補助額は最大でも68万円になる。
CEV補助金はクリーンエネルギー自動車の普及拡大を促進することを目的に掲げている。そして自動車分野のGX実現に必要価値と、メーカーの取り組みを総合的に評価して補助金額が決まる仕組みだ。
補助金額は外部給電機能の有無や一充電当たりの走行距離(160㎞以下は対象外)などに基づいて算出する。ただし、「総合的に評価」という点には、「災害時の地域との協力」「外部給電機能を備えていること」などを考慮することが含まれている。
トヨタC+podやトヨタ車体のコムスなどもCEV補助金の対象になっているし、原付自転車や側車付二輪車も対象である。
CEV補助金を受けた実績は、2021年度が4万5073台、22年度は10万7683台と倍増している。都道府県別で見ると、東京都が1万3125台で最も多く、続いて愛知県の8973台、大阪府の6094台となっている。
CVE補助金の他に、東京都はZEV補助金を設定している。これはCEV補助金とは別に受け取れるもので、個人ユーザーがBEV/PHEV、FCEVを購入する場合は❶基本補助額❷メーカー別上乗せ補助額❸再生可能エネルギー電力導入による上乗せ補助額❹充放電設備(V2B、V2H)、公共用充電設備導入による上乗せ補助額が用意されている。
このうち❶と❷は、CEV補助金に該当する一般的なクルマを購入した場合は受け取れると考えていい。BEVの場合は少なくとも40万円の補助金(❶+❷)が上乗せされ、日産リーフやトヨタbZ4Xの場合は125万円のサポートが受けられる計算になる。 自宅に太陽光発電設備を設置すれば、BEVの場合は30万円の上乗せ補助が受け取れる。
BEVをはじめとするCEV補助金の対象車両は大型のバッテリーを搭載しているので、災害時には蓄電池として機能させることが可能だ。そのための設備を設置すれば、1台につき充電設備1口10万円の補助が用意されている。
東京都は事業者に対する普及促進事業として、充電設備の設置に対する助成や、カーシェアやレンタカーの事業者がBEVかPHEVを購入する場合には75万円、FCEVには200万円(いずれも給電機能付きの場合)の補助金を設定している。
他の一例を示すと、愛知県は先進環境自動車導入促進費補助金が設定されており、BEVは最大40万円、PHEVは定額10万円、FCEVは定額100万円が用意されている。補助金の取り組みは自治体で異なるので、新車購入時にディーラーで確認してみよう。