ACEA(欧州自動車工業会)は1月21日、2024年の欧州(EU+EFTA+UK)市場の新車販売台数を発表した。
2024年に欧州で販売された新車台数は1296万3614台で、前年比0.9%増だった。
国別で見ると、最多販売台数はドイツの281万7331台(前年比1.0%減)。英国の195万2778台(同2.6%増)、フランス171万8412台(同3.2%減)、イタリア155万9229台(同0.5%減)、スペイン101万6885台(同7.1%増)と、5大マーケットはそろって100万台の大台を超えている。
欧州全体で販売されたBEVは199万3102台で、前年比1.3%減。マーケットにおけるBEVのシェアは15.4%で、前年比0.3ポイント減。欧州のBEV市場は、ドイツ、フランス、英国などの大きなマーケットで15%を超えるまではスムーズに拡大した。だが、ドイツは昨年BEVの販売38万609台と、前年の52万4219台比で27.4%の減少。ドイツのBEV比率は前年の18.4%から13.5%に縮小した。フランスのBEVシェアは16.9%で、前年比0.1ポイント拡大、英国は19.6%で3.1ポイントアップしている。英国の2024年12月の車名別販売ランキングはテスラ・モデルYが5165台でトップ、モデル3が3477台で2位だった。
ドイツは2023年12月までBEV購入に対する補助金が設定されていたが、2024年からは補助金がなくなってBEV販売の失速が指摘されていた。一方、英国は「国内で販売するモデルの少なくとも22%は排出ガスがないZEVでなければならない」というルールが2024年に実施され、その数字に近いマーケットシェアに到達している。この規定に到達しなければ、メーカーには乗用車販売1台につき最大1万5000ポンド(約300万円)の罰金が科せられる。
これを回避するためにメーカーは、BEVの値引き販売を打ち出した。ドイツで補助金を狙ってBEV需要が拡大したのが2023年、英国は罰金を避けるために値引きでBEV販売が伸びたという見方ができる。
英国のZEV販売比率は24年22%25年には28%に、26年には33%、27年38、28年52%と毎年拡大し、2035年には100%になるよう目標が掲げられている。だが、24年の販売実態を考慮すると、メーカー側の値引き負担が大きすぎ将来にわたって続けられるとは思えない。
英国のBEVシェア拡大の背景には、こうした課題が潜んでいることは覚えておきたい。