BYDが電気自動車の充電速度を大幅に短縮する新技術「スーパーeプラットフォーム」を発表

目指したのはEVの充電速度をガソリン車の給油速度と同等にする“油電同速”の実現――。BYDがバッテリー、モーター、電源システムなど車両全体で最大1000V級の高電圧に対応し、超高速充電を可能とした全域キロボルト高電圧アーキテクチャを採用する新世代EV向けの新技術「スーパーeプラットフォーム」を公表

 中国BYD Autoは2025年3月17日(現地時間)、新世代の電気自動車に向けた新技術の「スーパーeプラットフォーム(Super e-Platform)」を発表。合わせて、スーパーeプラットフォームを採用するセダンモデルのHan(漢) L EVとSUVモデルのTang(唐)L EVを本年4月に中国で発売予定とアナウンスした。

▲BYDが新世代の電気自動車に向けた新技術「スーパーeプラットフォーム」を発表。目指したのはEVの充電速度をガソリン車の給油速度と同等にする“油電同速”の実現

▲BYDが新世代の電気自動車に向けた新技術「スーパーeプラットフォーム」を発表。目指したのはEVの充電速度をガソリン車の給油速度と同等にする“油電同速”の実現

 EVの充電速度をガソリン車の給油速度と同等にする“油電同速”の実現を目指して開発したスーパーeプラットフォームは、1秒あたり2kmの航続距離に相当する超高速充電を行う“フラッシュ充電”を達成し、5分間で最大400km分の充電を可能とすることで、EV充電に関するこれまでの課題を大幅に改善したことが特徴である。

▲スーパーeプラットフォームを採用するセダンモデルのHan L EVとSUVモデルのTang L EVは本年4月に中国で発売予定

▲スーパーeプラットフォームを採用するセダンモデルのHan L EVとSUVモデルのTang L EVは本年4月に中国で発売予定

 スーパーeプラットフォームの主な革新技術を紹介していこう。まず、世界初の量産乗用車向け「全域キロボルト高電圧アーキテクチャ」。バッテリー、モーター、電源システムなど車両全体で最大1000V級の高電圧に対応し、超高速充電を可能とする。バッテリー自体には正極から負極まで超高速イオンチャネルを備え、最大1000Aの充電電流と10Cの充電レートを実現した新開発の「フラッシュチャージバッテリー」を採用。総電力量は83.212kWhを確保する。また、業界初となる量産型自動車用の「SiC(シリコンカーバイド)パワーチップ」を新開発し、これにより最大1500Vの高電圧環境下での効率的な電力制御を可能とする。具体的には、量産車としては最高水準の1メガワット(1000kW)の充電出力を達成し、1秒あたり2kmの航続距離に相当する充電を具現化した。さらに、冷却冷媒を従来の片面から両面に刷新することで冷却性能を従来比で90%アップし、安定した超急速充電性能に対応させる。

▲世界初の量産乗用車向け「全域キロボルト高電圧アーキテクチャ」を採用。バッテリー、モーター、電源システムなど車両全体で最大1000V級の高電圧に対応し、超高速充電を可能とする

▲世界初の量産乗用車向け「全域キロボルト高電圧アーキテクチャ」を採用。バッテリー、モーター、電源システムなど車両全体で最大1000V級の高電圧に対応し、超高速充電を可能とする

▲量産車としては最高水準の1メガワット(1000kW)の充電出力を達成し、1秒あたり2kmの航続距離に相当する充電を実現

▲量産車としては最高水準の1メガワット(1000kW)の充電出力を達成し、1秒あたり2kmの航続距離に相当する充電を実現

 次に新開発のモーターについては、ステーターに10層のフラットワイヤーヘアピン巻線を配し、最高出力は580kWを発揮。最高回転数は3万511rpmに達する。また、モーター自体の小型化および重量と高出力化の関連を示す出力密度は、クラストップレベルの16.4kW/kgを実現した。性能面では、Han L EVとTang L EVともに最高速度300km/h超を成し遂げている。

▲モーターはステーターに10層のフラットワイヤーヘアピン巻線を配し、最高出力は580kWを発揮。最高回転数は3万511rpmに達する

▲モーターはステーターに10層のフラットワイヤーヘアピン巻線を配し、最高出力は580kWを発揮。最高回転数は3万511rpmに達する

▲Han L EVとTang L EVともに最高速度300km/h超を達成

▲Han L EVとTang L EVともに最高速度300km/h超を達成

 BYDはスーパーeプラットフォームの性能を最大限に活かす目的で、業界初となる「フル 液冷メガワット級フラッシュ充電ターミナルシステム」も開発する。このシステムは、最大1360kWの出力を可能とし、同時に既存の充電インフラをアップグレードできる「デュアルガン充電」技術を採用。また、BYDは中国全土に4000カ所以上のメガワット級フラッシュ充電ステーションを展開する計画で、これによりEVユーザーがガソリン車並みの利便性を享受できる超高速充電環境を整備し、充電に対する不安の解消を目指す予定である。

▲BYDはスーパーeプラットフォームの性能を最大限に活かす目的で、業界初となる「フル 液冷メガワット級フラッシュ充電ターミナルシステム」を開発。中国の4000カ所以上に設置予定

▲BYDはスーパーeプラットフォームの性能を最大限に活かす目的で、業界初となる「フル 液冷メガワット級フラッシュ充電ターミナルシステム」を開発。中国の4000カ所以上に設置予定

 なお、BYDはスーパーeプラットフォームを採用するHan L EVとTang L EVの予約受注を中国で開始し、前述の通り本年4月に発売する予定。車両価格はHan L EVが27~35万元(約556~721万円)、Tang L EVが28~36万元(約577~742万円)に設定する。スーパーeプラットフォームの海外展開に関しては、現在のところ未定だ。

▲スーパーeプラットフォームを採用するHan L EVの車両価格は27~35万元(約556~721万円)に設定

▲スーパーeプラットフォームを採用するHan L EVの車両価格は27~35万元(約556~721万円)に設定

▲Tang L EVの車両価格は28~36万元(約577~742万円)に設定

▲Tang L EVの車両価格は28~36万元(約577~742万円)に設定

 

 

SNSでフォローする