岡崎宏司さんがロールス・ロイス・ドーン・ブラック・バッジを3日間にわたって試乗。プレステージカーの頂点に立つ特別なブランドを日常生活の中で乗ってみると、初めて経験するエピソードがたくさんあった。
駐車スペースは「観光バス用」を用意してくれた
▲シルバー・ドーンのドーンは「夜明け(dawn)」の意味 輸入元のコーンズは「(ドーン)によって不安を払いのけ、新たな一日の始まりに目覚め、終わりなき可能性に気づかされます」と車名に込められた思いを説明している
最近、ロールス・ロイス・ドーン・ブラック・バッジに乗った。ボクが初めてロールス・ロイス(以下RR)に触れたのは1964年。以来、いろいろなかたちで試乗したり、取材をしてきた。RRの場合は何度コンタクトしても、強烈なオーラに慣れることはできなかった。
そんなRRと3日間を過ごし、箱根1泊の旅をともにするには、勇気が必要だった。が、結果はいい経験だったし、楽しい時間が過ごせた。
サイズは思ったより早くなじめた。運転は楽。とくに、坦々とクルージングするようなときのマナー、運転のしやすさは素晴らしい。2~3度アクセルを深く踏み込んでみたが、6.6リッター・V12ツインターボは2.5トンを超える重量を「滑らかにグイグイ」と加速させていった。
サウンドは抑制的だが、ダイナミックだ。シャシーもダイナミックなドライビングに対応している。しかし、ドライブは妻も一緒だったので、その片鱗を味わうにとどめた。
6層構造の幌は〝クローズドボディと変わらない〟静粛性で、高速走行時の低い風騒音には驚いた。強い雨がソフトトップを打つ音も、いままで経験した覚えがない柔らかさであり、優しさだった。
ホテルでは「2台分の駐車スペースの真ん中に止めてください」といわれた。翌日訪れた美術館では、バス用駐車場に誘導された。サイズ面でドーンと同じようなクルマにはあれこれ乗っているし、いろいろな場所にも行っている。だが、これほど特別な扱いをされたのは初めてだ。RRが放つオーラを改めて実感した。
芦ノ湖スカイラインでオープン走行を楽しんだ。ゆっくり走った。微風がキャビンを心地よく包み、優しく流れていく、贅沢な時間だった。
RRと過ごした3日間。初めはプレッシャーを感じたが、時間の経過とともに心地よさが勝っていった。RRとの距離がほんの少し縮まった気がした。ボクにとって、これは大いなる収穫だ!
▲ロールス・ロイス・シルバー・ドーン・ブラック・バッジ 真横から見るとウィンドウ部分がかなり小さく作られているとわかる
■主要諸元
価格:8ATC 4460万円(消費税8%)
寸法・重量:全長×全幅×全高5295×1945×1500㎜ ホイールベース3110㎜ 車重2640㎏
エンジン:6591㏄・V12DOHC48Vツインターボ(593㎰/5250rpm 840Nm/1650〜4750rpm)
サスペンション:Ⓕダブルウィッシュボーン/Ⓡマルチリンク
ブレーキ:ⒻⓇベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:Ⓕ255/40R21/Ⓡ285/35R21
駆動方式:FR
乗車定員:4名