小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』(写真は北米仕様の新型ポルシェ911)
●一見不変だけどプラットフォームはアルミ7割の新作モノ
新型ポルシェ911こと992型に、我がホームグラウンドこと箱根ターンパイクでやっと乗ってきました。
実はその前にアメリカのLAでチョイ乗りしてきたんですけど、その時はポルシェ初EVのタイカンに感動しきりで、992にはさほどシビれなかったのです。
それよりアップデート情報を確認するのが精一杯で、ボディは一見、旧型のリファイン。全長×全幅は4520×1850mm、ホイールベース2450mm、旧型のワイドボディとほとんど同じ。
▲新型ポルシェ911カレラS(日本仕様) 価格:8SMT 1696万8519円
しかし、骨格は新世代MMBプラットフォームを使っていて、全体の約7割がアルミ化! ホワイトボディで12kg軽くなったうえ、剛性も5%向上してるとか。
エンジンは基本991型の踏襲で、ダウンサイジングターボ化した3リッター水平対向6気筒ツインターボを搭載。
もはや911のノーマルモデルに自然吸気エンジンはナシのまま。
▲全長×全幅×全高4520×1850×1300mm ホイールベース2450㎜ 車重1540㎏
もちろん高出力化されていて、ピークパワー30ps、ピークトルク30Nmアップの450ps&530Nm。
ただしパワートレーンの真のポイントはギアボックスで、7速PDKから8速PDKに進化。
すでに電気モーターが入るスペースが用意されているそうで、992型からついに911もハイブリッド化されるわけです。
今回のカレラSは完全なガソリンターボですけど。
●よくよく乗ってみるとやっぱり911の味
あらためて日本で乗ってみると、思ったより印象は変わっていませんでした。
見た目はさすがにモダン化されていて、最も大きく変わったのはインパネ。
メーター類はセンターのタコメーターを除いてフルデジタル化され、イグニッションをオフにすると真っ黒。
▲インテリアは1970年代の911をモチーフとした水平基調のワイドなダッシュボードを採用
基本は伝統の丸型5連メーターで、表示ロジックは右端ガソリン計&水温計、タコメーター、左は時速300キロ以上まで刻まれたスピード計と相変わらず。
なにより走り出したとたん、ソリッドなステアリングフィールが、迷うことなき911。
センターの感触が重めで、操舵するとその瞬間、間髪入れずにノーズが付いてくる。
このあたりのレスポンス、フィーリングは、小沢が持っていた964型空冷911と基本変わらない。
これぞリアエンジンハンドリングで懐かしい限りです。
もちろん乗り心地はさらに良くなったし、アルミ化で振動の伝わり方が微妙にニブくなった感じもあり。
直6ほど鋭すぎない、わりとドロローンと回るトルクの塊みたいな3リッターフラット6の回転フィールは相変わらず。まったくターボラグ感なし。
▲アメリカと日本で試乗 伝統のフラット6特有のフィーリングが楽しめる
いわれない限りターボエンジンだとわかりません。
ペダルを踏んだとたん、タイヤホイールに棒でも突っ込まれたのか! という効き具合のブレーキもまったく同じ。
それでいて微妙な踏み加減で減速Gを自在にコントロールできるところも一緒。
あいかわらずの極上ドライビングマシーンではあるわけです。
450psを体感するために時速300キロ出すわけにもいかないし、時速100キロ程度ではトップギアの8速もいるのかどうか。
違うのは、最近右ハンドルを推奨しているポルシェ・ジャパンの意向で、今回のカレラSも右だってことでしょうか。
911はやっぱり911。ある意味、イヤになっちゃうくらいのド定番でした、小沢的には。
▲2+2のシートレイアウト 後席はミニマムだが大人でもぎりぎり座れる
▲後席足元スペース 短距離ならOK