連載40回 変わっているけど変わっていない! 新型ポルシェ911に感じた矛盾だらけの超ド定番感

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』(写真は北米仕様の新型ポルシェ911)

●一見不変だけどプラットフォームはアルミ7割の新作モノ

 新型ポルシェ911こと992型に、我がホームグラウンドこと箱根ターンパイクでやっと乗ってきました。

 実はその前にアメリカのLAでチョイ乗りしてきたんですけど、その時はポルシェ初EVのタイカンに感動しきりで、992にはさほどシビれなかったのです。
 
 それよりアップデート情報を確認するのが精一杯で、ボディは一見、旧型のリファイン。全長×全幅は4520×1850mm、ホイールベース2450mm、旧型のワイドボディとほとんど同じ。

フロント左頭.jpg▲新型ポルシェ911カレラS(日本仕様)  価格:8SMT 1696万8519円
 
 しかし、骨格は新世代MMBプラットフォームを使っていて、全体の約7割がアルミ化! ホワイトボディで12kg軽くなったうえ、剛性も5%向上してるとか。
 
 エンジンは基本991型の踏襲で、ダウンサイジングターボ化した3リッター水平対向6気筒ツインターボを搭載。
 
 もはや911のノーマルモデルに自然吸気エンジンはナシのまま。

リア.jpg▲全長×全幅×全高4520×1850×1300mm ホイールベース2450㎜ 車重1540㎏
 
 もちろん高出力化されていて、ピークパワー30ps、ピークトルク30Nmアップの450ps&530Nm。
 
 ただしパワートレーンの真のポイントはギアボックスで、7速PDKから8速PDKに進化。
 
 すでに電気モーターが入るスペースが用意されているそうで、992型からついに911もハイブリッド化されるわけです。
 
 今回のカレラSは完全なガソリンターボですけど。

●よくよく乗ってみるとやっぱり911の味

 あらためて日本で乗ってみると、思ったより印象は変わっていませんでした。

 見た目はさすがにモダン化されていて、最も大きく変わったのはインパネ。

 メーター類はセンターのタコメーターを除いてフルデジタル化され、イグニッションをオフにすると真っ黒。

ダッシュ斜め.jpg▲インテリアは1970年代の911をモチーフとした水平基調のワイドなダッシュボードを採用
 
 基本は伝統の丸型5連メーターで、表示ロジックは右端ガソリン計&水温計、タコメーター、左は時速300キロ以上まで刻まれたスピード計と相変わらず。
 
 なにより走り出したとたん、ソリッドなステアリングフィールが、迷うことなき911。
 
 センターの感触が重めで、操舵するとその瞬間、間髪入れずにノーズが付いてくる。
 
 このあたりのレスポンス、フィーリングは、小沢が持っていた964型空冷911と基本変わらない。
  
 これぞリアエンジンハンドリングで懐かしい限りです。
  
 もちろん乗り心地はさらに良くなったし、アルミ化で振動の伝わり方が微妙にニブくなった感じもあり。
 
 直6ほど鋭すぎない、わりとドロローンと回るトルクの塊みたいな3リッターフラット6の回転フィールは相変わらず。まったくターボラグ感なし。

走り.jpg▲アメリカと日本で試乗 伝統のフラット6特有のフィーリングが楽しめる
 
 いわれない限りターボエンジンだとわかりません。
 
 ペダルを踏んだとたん、タイヤホイールに棒でも突っ込まれたのか! という効き具合のブレーキもまったく同じ。
 
 それでいて微妙な踏み加減で減速Gを自在にコントロールできるところも一緒。
 
 あいかわらずの極上ドライビングマシーンではあるわけです。
 
 450psを体感するために時速300キロ出すわけにもいかないし、時速100キロ程度ではトップギアの8速もいるのかどうか。
 
 違うのは、最近右ハンドルを推奨しているポルシェ・ジャパンの意向で、今回のカレラSも右だってことでしょうか。

 911はやっぱり911。ある意味、イヤになっちゃうくらいのド定番でした、小沢的には。

後席.jpg▲2+2のシートレイアウト 後席はミニマムだが大人でもぎりぎり座れる

後席足元.jpg▲後席足元スペース 短距離ならOK
 

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