小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』
●7名乗車が可能なドイツ生まれのSUV
ある意味、日本人ファンが待ちに待っていたメルセデスコンパクトが登場した。
同ブランドのFFコンパクトシリーズ第6弾、GLBだ。
▲メルセデス・ベンツGLB 200d 価格:8SAT512万円
2019年までにスタイリッシュハッチのAクラス、ファミリー向けハッチのBクラス、スタイリッシュセダンのCLA、ワゴン版のCLAシューティングブレーク、Aクラスセダンと5車種をラインアップ。
2020年は5名乗車のGLAと、同時に追加された待望の新作SUVである。
▲全長4634×全幅1834×全高1706㎜(欧州参考値) ホイールベース2830㎜ 最低地上高202㎜
最大の注目ポイントはシリーズ初の7名乗り3列シート車であり、同時にSUVでもあること。
現在ドイツのプレミアムコンパクトは「BMW2シリーズ・グランツアラー」という7名乗り3列シート車があるが、あれは見た目が穏やかなミニバン。
ワイルドなSUVタイプはなく、GLBこそが国産3列シートミニバンより多少高くても、もうちょっとワイルドでプレミアムなファミリー向けを探していたユーザーに朗報だ。
▲エクステリアはスクエアかつシンプルな本格SUVらしさを巧みに表現 Gクラスからインスピレーションを継承
実際、外観はいまどきのSUVで、セレブに大人気の「Gクラスの弟分」とみることもできそう。
とくに押し出しの強いフロントグリルや、切り立ったリアなどはGクラスっぽい。
全長×全幅×全高は4634×1834×1706㎜と、幅以外は日本でもなかなか扱いやすいサイズ。
▲1~2列目は頭上空間を広く確保
▲2列目はスライド&リクライニングが可能
▲3列目はスクエアボディのメリットで大人も座れるサイズを確保
もちろんその分、3列目シートは小柄な乗員専用で、身長169㎝までしか乗れない。
だが、2列目までに大人5名がしっかりと乗れ、さらに小柄な人が2名乗れる点はメリットが大きい
常時フルシートは使わないけれど、3列目を折りたたむと500Lという大型ワゴン並みのラゲッジが広がり、使い勝手は十分なのだ。
●人気はディーゼルエンジン搭載の200d
走りも悪くない。
骨格は現行Aクラスから導入された新世代FFプラットフォームで、剛性感、上質感も上々。
すでに「もはやFF、FRのプラットフォームに違いは無い」と断言するジャーナリストもいるほどで、上級クラスのメルセデスに負けない熟成された走り味だ。
▲GLB 250 4MATICスポーツに搭載の1991cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボは最高出力224ps/5500rpm 最大トルク350N・m/1800~4000rpm
動力性能も十分で、パワーと低燃費性を兼ね備えた2Lディーゼルターボとパワフルな2Lガソリンターボが選べる。
なかでもリーズナブルなディーゼル搭載のGLB200dはいい。
エンジンはアイドリングこそうるさめだが、走り出せばまったく気にならないし、パワー&トルクは150ps&320Nmと余裕。
トルクは絶大で1.7トンレベルの重量ボディを楽々とひっぱる。
最新の8速DCTギアボックスと組み合わされ、ギアチェンジは滑らかだし、ダイレクトさも十分。
実燃費はリッター15km前後となかなかのものだ。
▲ダッシュボードは2連12.3㌅モニターが特徴の新世代デザイン
さらに現世代のコンパクトメルセデスではもはや常識の「しゃべれるメルセデス」ことMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)も搭載可。
車内で「ハイ、メルセデス」と話しかければ、ナビの目的地入力、ラジオ番組の設定、エアコンの温度調節までできちゃうのだ。完璧ではないとはいえ。
価格は便利でカッコいい分、少々高めで2Lディーゼルモデルが512万円、ハイパワーの4WDモデルが696万円。
ディーゼルは年内分が完売したともいわれるほどの大人気。
やはり日本での3列シート車ニーズは高いのだ。
とくにドイツプレミアムではほとんどカッコイイのがないだけに。
スタイル、実用、走りと3拍子そろったGLB。要注目の理由は、そこにある。
▲3列目をたたむと500Lの広い空間が出現 2列目もフラットに折りたたみ可能
▲3列目使用時は130L