高い? 低い? 高齢ドライバーの免許更新「実車試験」の合格率

高齢ドライバーの実車試験制度の内容

 FNNプライムオンラインは7月28日、「高齢ドライバーの免許更新[実車試験]15%が不合格、5月から約5000人が受験」と題する記事を発表した。
 今年5月から、高齢ドライバーの免許更新にあたって、実車試験制度が取り入れられた。記事によると、「6月末までに全国で受験した4982人のうち4255人が合格し、合格率84.8%となっているが、15%あまりが不合格だった」と報じている。

高齢運転者標識

70歳以上で身体機能の低下が自動車の運転の影響を及ぼす恐れがあるときは「高齢運転者標識」を付けるように「努めなければならない」

 高齢ドライバーの実車試験制度とは、75歳以上のドライバーが対象で、免許更新通知が届いた時点から過去3年間(正確には免許証の有効期間が満了する誕生日の160日前の3年間)に特定の違反行為があった場合に運転技能検査を受けなければならない。対象となる違反は信号無視、通行区分違反、通行帯違反等、速度超過、横断等禁止違反(法定横断等禁止違反、指定横断等禁止違反)、踏切不停止等・遮断踏切立入り、交差点安全進行義務違反、安全運転義務違反、携帯電話使用等……全部で11種類ある。速度超過や携帯電話など、大事故につながりやすい違反が対象で、駐車違反は含まれていない。

SUBARUアイサイトのカメラ部分

SUBARUアイサイトは誤発進防止など多数の安全運転サポート機能を備えている

 こうした違反歴がある75歳以上のドライバーは、「一時停止などの課題を設定したコースを走行」して、減点方式で評価される。100点満点で70点(二種免許は80点)以上で合格だ。検査対象は、指定速度で走行できるか(10km/h不足か超過で減点10点)、一時停止は大丈夫か(停止線を超えると10〜20点減点)、右左折はどうか(20〜40点減点)、信号機の見落とし(10〜40点減点)はないか、段差の乗り上げはどうか、である。段差の乗り上げはアクセルとブレーキペダルを確実に操作できるかを判断する検査で、7〜10cmの段差に乗り上げた後に正しく止まれるか(減点20点)を見る。段差に乗り上げられない、乗り上げて1m以内に停止できないと減点される。交差点を曲がって逆走状態になったり、信号無視をすれば、その時点で失格である。検査員が操作の補助を行った場合は30点の減点だ。試験は約10〜20分で終了する。

 実車試験は免許更新の6カ月前から受験でき、不合格になっても再受験が可能。免許更新期限までに合格すればいいが、期限までに合格しないと免許は失効する。試験にかかる費用は3550円だ。できるだけ一発合格したい金額である。

警察庁が推定していた不合格率は何%?

 今年75歳以上で免許の更新時期を迎えるドライバーは約212万5000人。このうち実車試験の対象者は約15万3000人と試算(警察庁)されている。FNNプライムオンラインが伝える割合で不合格者がいた場合、約2万3000人が免許証を失う計算だ。

 ところで、警察庁は実車試験制度が始まる前に、実車試験の不合格率を23%と推定していた。受験者は、警察関係者が想定していた以上の運転技術を備えていた、といえそうだ。

トヨタ・セーフティセンス

トヨタ・セーフティセンス 安全運転サポート技術は日進月歩で改良が進んでいる

 高齢者による重大な交通事故は、頻繁に報道されている。アクセルとブレーキを踏み間違えたというケースが多いようだ。こうした事故を回避し、実車試験制度の対象にならないようにするためには、最新の安全・運転支援技術を搭載したサポートカーをマイカーに選ぶ、という方法がある。前後方向誤発信防止装置や車線逸脱抑制機能、ACCなどうっかりミスを防ぐ技術は急速に発達し、普及している。ドライバー自身が確かな運転技術をキープし続けることが大切だが、先進技術のサポートを安心の上積みとして選択することは重要である。

 なお、実車試験に合格したドライバーは、認知機能検査(1050円、30分)を受け、これに合格すれば高齢者講習(6450円、2時間)を受けて免許更新となる。

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