グリップ・シリーズのミニカーをリリースした永大は、70年代後半に現れて、多くの種類のミニカーをリリースした後、10年足らずで、彗星のように消えてしまったメーカーだ。
永大のミニカーは、ボクが知る限り、すべて「グリップ」から始まる3シリーズがあった。第1は、グリップキャラクターで、すべてが映画やテレビに登場する車両のモデル化だ。『サンダーバード』や『ジョー90』に登場する車両や『ウルトラマンタロウ』の車両などがモデル化された。全長は80mm前後で、トミカより一回り大きいサイズだった。
ただ、グリップキャラクターは、クルマだけでなく、キャラクターのフィギュアもシリーズ内で展開しているので、厳密にはミニカー・シリーズとはいえないかもしれない。
第2はグリップゼッケンで、消防車や建設作業車などの特殊車両をモデル化した。全長は、100mm前後だった。
そして最高級グレードのシリーズが、グリップテクニカだ。ダイカスト製の本格モデルで、当時としては、最高の品質を誇っていた。写真は、46番のセリカ・リフトバック2000GTだ。少しぼってり感はあるものの、細かいところまでよく作り込んでいる。
タイヤが少し劣化しているが、それはゴムタイヤを履いているからだ。70年代のミニカーだから、当然メイドインジャパンである。
グリップテクニカは、国産車だけでなく、外国車のスーパーカーやF1マシンにまでラインアップを広げたが、突然姿を消してしまった。
理由はよくわからないのだが、グリップテクニカに関していえば、「28分の1という独自スケールが大きな原因になったのではないか」と、ボクは考えている。それだけ大きなサイズになると、確かに実車の再現性を上げることはできるのだが、コレクションを展示するのに大きなスペースが必要になる。
また国際的には43分の1の標準スケールの上は、24分の1というのが慣習になっていて、グリップテクニカは、そうしたミニカーと並べて展示することもできない実に中途半端なスケールだったのだ。
魅力的な車種が多く、それなりのラインアップが揃っているのだが、コレクターが少ないので、50年近く昔のモデルであるにもかかわらず、数千円で買えるお買い得モデルになっている。
正直いうと、ボクはまだ数台しか持っていないが、今後少しずつ増車したいと思っている。