「ニューモデル試乗」マイチェン以上の大きな進化を実感! アウディA4は復活するのか?

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

 アウディの屋台骨、A4セダン&アバントが大型マイナーチェンジを実施した。

 現行5thモデルは2016年にデビュー。すでに4年経ているが、あと2~3年は継続するはず。その場合、このままでは力不足だと判断したのだ。
 
 改良のポイントは大きく2つ、外観とパワートレインだ。外観はマイナーチェンジとは思えないほど大幅テコ入れで、絶妙にワイルド化。
 
 関係者いわく「前期は販売が思ったより伸びなかった」ようで危機感が伝わってくる。やはり世界的なメインモデルなのだ。

フロント.jpg
 
 具体的に外板はドアやフェンダーを中心にほぼすべて刷新。ボディ全幅は前期モデルより5mm拡大し、グリルも良く見ると横長になり、ワイドさを強調。ライトはほとんど変わってないようだが、下のギザギザがなくなり、分厚さを増している。
 
 またベースモデルからLEDヘッドライトを標準装備。装備の底上げがなされている。

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 パワートレインは150PSの「35 TFSI」の1.4リッター直4ターボが2リッター化し、249PSで2リッターターボの「45 TFSI」とともに、マイルドハイブリッドを新装備。
 
 しかも欧州では常識の48Vマイルドハイブリッドではなく、より簡易な12Vマイルドハイブリッドだ。
 
 電圧が低い分、モーターアシスト量は少なく、回生は最大5kW。それだけに電動感は薄そうだが、燃費改善は100kmあたり0.3リッター分見込めるようで、それだけ現状の欧州CAFE規制が厳しいということだろう。

●上質さは相変わらず半端なく、トルク感も予想以上

 今回試乗したのは150psの35TFSIのアバント。
 
 見た目は、正直オーナーでないとわからない程度の進化だが、それでも大人しさが減り、野性味が増したのは分かる。
 
 とくにサイドの彫りは深まり「あれ、A4ってこんなにワイルドだったっけ?」と思う。
 
 インテリアはあいわらず上質で、かつアウディらしく精緻だ。

ダッシュ斜め.jpg
 
 高品質なアルミ調パネルが随所に使われ、スイッチ類のタッチもカチカチと気持ちいい。
 
 同時にアウディ自慢のインフォテイメントシステム、MMIはモニターが8.3インチから10.1インチに拡大され、タッチディスプレイ化されたことにより、コントロールダイヤルや操作スイッチが廃止された。
 
 なによりも走りの上質さは、乗るたびに感激する。

 実は直前に横置きFFベースのQ3に乗ったのだが、申し訳ないがクオリティ感はワンランクもツーランクも異なる。
 
 やはりA4以上に与えられる縦置きプラットフォームの味は別格で、発進から滑らかさはもちろん、乗り心地も静粛性も全然違う。

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後席.jpg
 
 無論そのあたりの味のよさは、前期型A4でも感じたもので、大きな変化は感じない。
 
 ただとくに35TFSIの2リッター化とマイルドハイブリッド化は大きく、発進加速は間違いなくより分厚くなっている。
 
 エンジンの最大トルクが270Nmあるのはもちろん、モーターも最大トルクは60Nmとバカにできない。
 
 完全EV走行はできないが、ほどよい力強さが味わえる。シフトの7速デュアルクラッチも本当に滑らかだ。

 ハンドリングはBMWやメルセデスのFR系とは違い、シャープでありつつ安定感重視。
 
 ラゲッジ容量は標準で495リッター、拡大して1510リッターと十分。
 
 競合はメルセデスのCクラスとBMW3シリーズ。
 
 いまやSUV化が激しいこのセグメントだが、十分戦っていけそうなマイナーチェンジモデルである。

ラゲッジ.jpg

後席足元.jpg

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