今号は、日本カー・オブ・ザ・イヤー第39回(2018―19年)と第40回(2019―20年)を振り返ります。
前号で2017年はボルボのXC60が受賞したことをお伝えしましたが、2018年に本賞を受賞したのは、同じボルボのXC40でした。得点は363点と、2位のトヨタ・カローラ・スポーツに49点の差をつけての受賞となりました。3位以下は、VWポロ、トヨタ・クラウン、三菱エクリプスクロス、マツダCX-8……という顔ぶれでした。
この年は、トヨタ勢がカローラとクラウンで票が割れたため、こうなったという事情はあります。トヨタは思ったとおりに配点してほしいというスタンスでした。もし何らかの意思表示があったら結果は変わったのではないかと思っています。
筆者は、クラウンを高く評価しました。デザインや走りでチャレンジングな変化を遂げながらもクラウンらしさを損なうことなく、クラウンを愛するユーザーの期待に応えていたからです。一方で、カローラは本命モデルがまだ登場していないと感じ、配点しませんでした。XC40についてはいくらか配点しました。
最終的にボルボの2連覇という結果となったことは、レギュレーション上は何も問題ありません。ボルボは間違いなく評価を上げたことでしょう。
ただし、これが世間にどう見えたのかという話になると、モヤモヤが残ります。おそらく多くの一般の方々も同様のことを感じたはずです。
そうしたことを避けるために、個人的には日本車と輸入車を分けたほうがよいように思っています。諸外国のこうしたアワードでは分けていないところが多いのですが、輸入車の販売比率が低く、とくに地方ではそれが顕著な日本では検討の余地があるでしょう。
翌2019年は、2位のマツダ3に100点以上の差をつけて、トヨタRAV4の圧勝となりました。インポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したBMW3シリーズが3位というのも順当だったように思います。筆者も、RAV4に10点を、BMW3シリーズに6点を、マツダ3には4点を投じました。
ボルボの2台に次いで3年連続でSUVがカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは「時代」だと思います。RAV4はそんな世の中のSUVブームを代表する存在に違いなく、クルマ自体も大いに注目を集め、販売面でも予想をはるかに上回る売れ行きを見せていました。完成度が高く、それでいてコスパのよさを感じさせる価格設定も評価しました。
2019年は部門賞も存在感がありました。テクノロジー部門は予想どおりプロパイロット2.0で世間を驚かせた日産スカイライン。一方、エモーショナル部門は、ジープ・ラングラーが受賞しました。
例年はやはりスポーツカーが受賞することが多いエモーショナル部門です。この年もスープラが獲得してもおかしくなかったところ、日本で特異的な売れ方をしているラングラーが、だいぶ点差をつけて輝きました。これは印象的でした。
おかもとこういちろう/1968年 富山県生まれ。1970年代前半の幼少期を横浜で過ごし、その頃からクルマに目覚め、小学1年生で街を走るクルマの車名をすべて言い当てるほどになる。学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのちフリーランスへ。2004年、AJAJ会員入り。2008年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員