車重3トン超! スタッドレスだけで 過酷な雪山道を2駆キャンパーで登れるか?

TOP4.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜17時50分~18時TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●そんなに簡単じゃないキャンピングカーの運転

 念願の自腹キャンピングカー、小型トラックベースのナッツRV「クレソンボヤージュ」を購入した小沢。しかし気になっていたのが雪道問題だった。

 なぜなら前回語ったように個人的には「冬こそキャンピングカー」だと考えている。夏イメージもあるだろうが、その優秀な断熱性、居住性は寒いところで真価を発揮する。ついでにスキーやスノボにも、いまだによく行く。
 
 ただ、唯一心配なのが雪道。
 そもそも90年代のスキーブームで雪道には慣れっこだ。FFシビックや4WDレガシィ、いろんなクルマで行ったが基本心配なし。優秀なスタッドレスを履かせたら鬼に金棒。懸念はない。
 
 ただし、今回は重いトラックでの雪道、それも登り坂の経験はなかった。自信も少なからずある雪道ドライブだが、スキー場に到達する直前の急勾配で、タイヤが滑り始める瞬間はタマにある。

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 登りでしかも路面凍結。前走車が登れず、ギリギリのパーシャルスロットルで苦境を凌いだこともある。
 
 我がクレソンボヤージュは完全に小型トラックのトヨタ・カムロードベース。車重3トン超え!で、重い分、逆にグリップする説もあるが、登りはやっぱりスリリング。
 
 道はたいていカマボコ上に真ん中が高く、左右が落ちているため、登りで滑り始めるとジリジリ路側に行く危険性も捨てきれない。それが軽い軽ならまだしも3トン超えのトラックだったら...
 
 よって、まずはトラックの重量に耐える優秀なスタッドレスをチョイスせねばならない。今回小沢はケチって安いスタッドレスなどは選ばず、国産最高峰のブリヂストンのライトトラック用ブリザックVL1を選んだ。
 
 サイズは195/70R15と乗用車サイズかと思うが、耐荷重がケタ違い。ぶっちゃけ1本あたり1トンレベルでも耐えられるタイプだ。

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 価格は装着料を含み13万円超えと安くないが、10万円以下の海外製ではあり得ない安心感が得られる。ついでに安いゴムチェーンも保険として持っていった。

●尾瀬岩鞍でピンチはいきなりやってきた!

 まずはクレソンボヤージュの操縦性を含めレポートする。

 実はハイエースベースではない、トラックベースのキャブコンの運転は、言うほど簡単ではない。普通にアクセル、ブレーキ、ステアリングを操作するだけだが、運転が苦手なドライバーにはちと無理だろう。
 
 中型免許がないとダメということもあるが、まず全長5m、全幅2mとサイズがデカく後方視界も悪い。バックカメラとサイドミラーだけで細い道をバックしなければならない。
 
 高速道路では予測アクセル、予測ブレーキ、予測ステアリングが必須だ。ボディが重く、すべての反応が乗用車より遅いので、先を見据えてゆっくりペダルを踏み、ステアリングを切らないとギクシャクする。半分プロドライバーレベルの経験が必要になる。

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 いよいよ本番、クレソンボヤージュ&ブリザックVL1の走りだが、一般のドライ路面は予想以上によかった。夏タイヤとしていままで履いていたキャンピングカー専用のミシュランタイヤ「アジリス・キャンピング」に比べると乗り心地は落ちる。路面の継ぎ目で、ガツン!と衝撃が足回りに入る。
 
 だが90年代のスタッドレスに比べれば直進安定性は高いし、妙なグニャグニャ感もない。平気で時速100km/h近くは出せるし、ブレーキも十分普通に効く。
 
 さて順調に東京を出発して3時間。群馬県の尾瀬岩鞍スキー場に向かうところで初めて雪道が登場。しかし見事にグリップするする! たしかに今まで乗った乗用車用と比べると、荒れてデコボコが付いた雪道では♪ダダダダ! とフロアが振動することもある。
 
 そこはしっかりスピードを落とさないとツラい。でもグリップ性能に心配なし。良かった良かった。
 
 と、思ったその時、スキー場まであと1キロ! という細い登り雪道でピンチはやってきた。
 
 雪がどんどん深くなり、勾配はスキー場の緩斜面より少しキツイくらい。突如、前を走っていたダイハツ・タフトが止まったのだ。

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 アレ? と思ったらスタック! FF車なのでリアタイヤは動かず、フロントが暴れるのみ。助けに行こうかと考えていたら後席から2人が出てきてクルマを押し始めている。
 
 この状況はまずい。当然その時、小沢も同じ状況になっていた。クレソンボヤージュは4WD仕様もあるが私のは2駆のFR。
 
 リアタイヤは粘っこくなんとかグリップするが、アクセルを踏みすぎると空回りして後に下がる。ま、マジかよ...遂に...
 
 だが小沢は今までの経験を生かし、冷静にステアリングを切りながらバックし、リアタイヤをフレッシュな積雪面に当て、再びゆっくりとアクセルを踏む。むむむ!
 
 すると2~3度トライした結果、なんとかじんわりグリップ復活。スピードが時速10kmを越えたら後はひと安心。さすがは国産ブリザック、誰かに助けて貰うこと無く窮地突破!

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 しかしマジメな話、まさにギリギリでタイヤをケチっていたら危険だかったかもしれないし、もうちょい坂がキツければ周囲の人に押して貰うか、バックして道を降りるか、チェーンを付けなければいけなかったかもしれない。
 
 教訓! スタッドレスはいいものを選びましょう。そしてキャンピングカードライブにはそれなりの経験が必要ですから、と。

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