森永卓郎ミニカーコラム「国産ミニカー第1号」

1958年、倉持商店が「コレクトーイ」発売

森永卓郎さん160.jpg■プロフィール もりながたくろう●1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する"博物館(B宝館)"を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日)

国産第一号ミニカー.jpg▲倉持商店が1958年に発売した「コレクトーイ」シリーズが国産初のミニカーと考えられる 写真はビュイック・センチュリー(シリーズ60)のリビエラ・クーペ

 日本で最初に作られたミニカーは、旭玩具が作ったモデルペットだということに、昔はなっていた。だが、モデルペットの発売は1959年で、その前年の1958年に倉持商店が「コレクトーイ」を発売していた。だから最近は、コレクトーイが国産初のミニカーだというのが定説になっている。

 コレクトーイは、当時としては珍しいウィンドウガラス入りで、フリクションも付けられて、玩具としての魅力も併せ持っていた。だが、販売は芳しくなかったようで、発売からたった2年で姿を消す短命モデルとなってしまった。

 コレクトーイが消えた年にボクは3歳だったから、百貨店のミニカー売り場で見かけた記憶はまったく残っていない。

 コレクトーイは、全部で13車種が発売されている。製品番号は付けられていないが、

1)リンカーン・コンチネンタル
2)シボレー
3)フォード
4)ポンティアック
5)ビュイック
6)フォード・エドセル
7)フォード・デリバリーバン
8)トライアンフTR3
9)メルセデス・ベンツ300SL
10)ジャガーXK140
11)シボレー・コルベット
12)ポルシェ356
13)BMW507

 車名からわかるように、すべてアメ車と欧州車になっている。

  1950年代の日本の自動車市場は、外国車が中心だったので、ある意味で当然の車種選択だったともいえる。しかし、モデルペットはすべて国産車をモデル化しており、コレクトーイが短命に終わった原因のひとつは、この車種選択にあったのかもしれない。

 コレクトーイは現存する台数が少なく、市場にめったに出てこない。ただ、需要も少ないので、価格が高騰する心配もない。せいぜい数万円で入手できる。だが、何しろ流通数が少ないので、ボクが所有しているのは、アメ車が3台と欧州車が1台の合計4台だけだ。

 写真は、ボクの一番のお気に入りのビュイックだ。当時のアメ車に共通する派手なテールフィンがしっかりと再現されている。

 車種は特定されていないが、おそらく1958年にモデルチェンジされたビュイック・センチュリー(シリーズ60)の2ドア・リビエラ・クーペだと思われる。

 出来がよいとはお世辞にもいえないが、これが日本のミニカーの原点だと思うと、やはり愛おしい。残る9車種も全部集めたいのだが、いつのことになるのか、まったく見通しはついていない。

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