ゴルフと比べてどうなの? 新世代1リッター直3+48Vハイブリッドを積んだ新型アウディA3スポーツバック

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜17時50分~18時TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●基本骨格はゴルフ8と同じ

 待望の欧州上質コンパクトが約8年ぶりに新しくなって上陸した。5月18日から日本で販売を開始したアウディA3スポーツバックだ。

 全長4.3m台の手軽さで、しかも大人5名が普通に座れる5ドアハッチバック。

フロント.jpg

 当然のことながら兄貴分のA4と並ぶ日本でのメインモデルとなるが、一番気になるのは質感だろう。

 なぜなら最近のVWグループ車は電動化が始まって以来、とくにインテリアの質感に対する問題が叫ばれているからだ。

リア.jpg

 骨格は同時期に上陸する新型VWゴルフ8と基本同じ。

 3代目A3から使っているMQBプラットフォームをキャリーオーバーさせて使用し、メインのパワートレインもゴルフと同じ1L直3エンジン+48Vマイルドハイブリッド。

 ピークパワー&トルクはおそらく同レベルの110PS&200Nm。そこに主に発進加速時にモーターパワーが加わる。

 全長×全幅×全高は4345×1815×1450mmで旧型より20mm長く、30mm幅広い。2635mmのホイールベースは変わっていない。

真横.jpg

 実際に見てみるとエクステリアはアウディらしい精緻なムードを保ちつつ、見事にワイルド化。

 グリルは全体にエッジを効かせつつ、より角張った6角形に。ライトも基本は同じ逆L字型だが、太く鋭くなった。細かく見ると「アドバンス」「Sライン」でLEDのライトグラフィックが異なる。

 リアコンビネーションランプもフロントほどではないが微妙にワイルド化した。

 横幅は前後フェンダーの抑揚が増して遂に1.8mをオーバー。ここは日本で使うには若干の懸念点。しかし、存在感が増しては普通のコンパクトに見えないところは朗報だ。

●上質な走りと高い先進性

 気になっていたインテリアだが心配するほどではなかった。

 乗ったのが限定375台のファーストエディションがゆえ、ファブリックのシート表皮が、本来入ってくるペットポトルの再生マテリアルと違うところが残念だが、インパネ上部は上質なソフトパッドで覆われ、下部はさほど変わらない見た目品質のハードパッド。

 一部のプラスティックに乾いた質感も見て取れるが、気にはならない。

ダッシュ斜め.jpg

 それ以上にゴルフ同様のバーチャル化が目覚ましい。

 メーターは10.25インチのフルデジタルのバーチャルコクピットで、センターのMMIタッチパネルは10.1インチ。

 メカスイッチは極力減らされ、MMIタッチパネルの下に空調スイッチ、ハザード関係、ドア回りにパワーウィンドウスイッチが配置されているくらい。

 とはいえ主要なATレバーすらステアリング回りに組み込むテスラEVほどのスイッチ排除感はない。

エンジン.jpg

 気になる走りだが直3+マイルドハイブリッドのパワートレインは非常に上質だ。発進は1Lとは思えないトルク感があり、直3エンジンのバラツキ感もほぼ気にならない。

 他ブランドの直3に比べてお金がかかっている印象だ。乗り心地も滑らかで、アウディらしくフリクションが少なく、なおかつタイヤのエッジ感を見事に味わえるもの。

 もちろん直3らしく高回転まで回して、どんどん気持ち良くなるパワートレインではない。実用的でなおかつ控え目。高速道路では少し物足りない。このあたりを求める場合は、やはり直4モデルだろう。

前席.jpg

後席.jpg

 一方で、実用性だがリアシートには身長176cmの小沢が普通に座れ、ラゲッジ容量は380Lと十分。弟分A1と比べ、ファミリー層にも十分足りるはずだ。

頭上.jpg

足元.jpg

 気になる燃費だが、実燃費はわからなかったが、WLTCモードで17.9km/Lはまあまあ。アシスト程度のマイルドハイブリッドがゆえ、国産ハイブリッドほどではないが旧型よりは良くなっている。

 なによりこれだけ新しくなってスタート価格は310万円と控え目。

 最もベーシック状態だとマトリクスLEDヘッドライトやハイテク装備が減り、フルで付けると400万円前後も見えてくるが、それでも走りの上質さ、先進性の高さはピカイチ。

 コンパクトを超えた満足感をもたらす1台ではある。

ラゲッジ.jpg
 

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