トヨタ86スバルBRZプロトタイプ初試乗! 共同プロジェクト国産FRスポーツはなぜこんなに楽しいのか?

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜17時50分~18時TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●2ndモデル継続が決まってからアイデアがどんどん出てきた!

「2017年頃だったと思います。2ndの開発が決まったらあれもやりたいこれもやりたいとアイデアがどんどん集まってきちゃって(笑)」(プロジェクトゼネラルマネージャー スバル井上正彦氏)

 待望の2ndトヨタ? ではなかったGR86&スバルBRZのプロトタイプに乗ることができた。今回からトヨタのモータースポーツ部門GRブランドから出ることに決まった、スバルと共同開発の大衆向けFRスポーツカーだ。

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 論より証拠、まず千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイを走って驚いた。

 とにかく全体の一体感や品質感、ハンドリング性能が段違いにガツンと上がっているのだ。

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 コーナー進入時のステアリングの効きの良さはもちろん、スムーズなドリフト状態への移行具合も半端ない。

 さらなる圧巻はエンジンで、とにかく全域で速い。

 1stモデルは確かに楽しかったが、エンジンサウンドの割に前に出なかった。しかし今回は違う。

 一番気になっていた低中速域のトルクの薄さがなくなり、どこから踏んでも7000回転超まで気持ち良く伸びる。

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 エンジンは新たに2.4Lのフラット4に改良。

 プラットフォームは従来のキャリーオーバーだというが、どこがどう違うのか。開発陣に聞いてみたら予想以上に数多くの改良とアイデアが投入されているのがわかった。

●利益度外視!? 86とBRZの細部までこだわった相違点

 まずスタイリングの改良だが、全長×全幅×全高は4265×1775×1310mm。

 1stモデルより25mm長く10mm低くなり、ノーズが伸びてキャビンの凝縮感が増している。

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 Cピラーが内側に傾き、リアフェンダーの膨らみが増して随分セクシーになってるなと思いきや、驚いた。

 トヨタの担当デザインチームが、スバル開発本拠地の群馬県太田市に「短期移住」。半年ぐらいマンスリーマンションに住み、ボディ設計と密なやり取りをしたという。

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「それまでは開発陣が太田市から豊田市にクルマで通って時間を無駄に使ってた」とか。

 ボディもプラットフォームは流用ながらも新世代のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)の最重要項目たるインナーフレーム構造初採用。

 これはボディを作る順番の話で、いままでセクション毎にボディを溶接していたのを止め、まず内部骨格=インナーフレームを溶接してから外板を組み上げる。結果、一体感が増し、従来比でねじり剛性が50%もアップした。

 さらなる驚きは軽量化でボンネット、ルーフ、フロントフェンダーをすべてアルミ化。

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 結果として、衝突安全向上も狙ってノーズが伸びて重量が増しているが、軽量パーツで相殺。車重を初代とほぼ同等にとどめている。

 もう一つは低重心化で、10mmダウンの全高に加え、前述アルミルーフや2.6kg軽量化し、着座位置を5mm下げたフロントシートもあって全体重心が約4mm下がっている。

 たかが4mmされど4mm、これが走り味に相当効いているのだ。

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 最後の驚きはエンジン。従来の2L水平対向4気筒の代わりに、2.4L水平対向4気筒を採用。
 これを北米で発売中のSUVアセント用の2.4Lユニットと勘違いして「今回は簡単にターボが付く」と誤解しているファンも多いが、新型2.4Lは従来の86BRZ用2Lの進化型。それもパーツをほぼ新作するほど必要以上に手が込んでいる。

「そうでなければノンターボで235ps&250Nmは無理。トヨタの直噴とポート噴射を併用するD-4S技術があればこそです」と前述の井上氏。

 一見、外観は一新、中身に少し手を加えただけのような新型86&BRZだが、ボディからサスペンションからエンジンまで全面刷新レベルで良くなっているのだ。

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 今回サーキットで乗り比べてわかったが、新型は86とBRZの走り味の違いも大きく
「当初はバネダンパーの仕様変更どころかバネと電子制御の違いだけで違いを出そうとしてましたが、昨年の9月に急遽変更。新型は前後スタビライザーを中空タイプと中実タイプで変えたり、リアスタビのボディ直付けをやったりやらなかったり、フロントタイヤのナックルをスバルはアルミ製、トヨタはあえて鋳鉄製にすることで違いを出してます」という。これまたびっくりするほどこだわりまくっているのだ。

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 スポーツカーとしては世界累計約30万台と成功した86&BRZ。だが量産車としては正直、儲かるまでには至ってない。

しかし「ウチだけではここまで出来なかった。トヨタさんがいたからです」と井上エンジニアがいうように、今回再び利益度外視で改良している。そりゃ走りも良くなるわけですよ。

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