ヴィーキング製VWビートル

経済アナリストでミニカーのコレクターとして知られる森永卓郎さんの連載エッセイ。VWビートルを紹介。

ヴィーキングかバイキングか

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■プロフィール もりながたくろう●1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する「博物館(B宝館)」を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日)

8482503ef6d28990d35728d942c28d3c2d236b73.jpg▲87分の1スケールのヴィーキング社製VWビートル 87分の1スケールは鉄道模型のHOゲージ用にサイズを合わせたモデル 写真のモデルの実寸は4㎝前後

 ミニカーの縮尺は鉄道模型が基準になっている。軌間32㎜のOゲージという鉄道模型がある。このサイズの鉄道模型のアクセサリーとして、縮尺を合わせて作られたのが43分の1の標準スケールミニカーだ。

 Oゲージの鉄道模型は、欧米では一般的だった。ところが、サイズが大きいので、家屋の小さい日本では、ほとんど普及しなかった。代わりに日本で主流になったのが、HOゲージ(ハーフ・オー・ゲージ、軌間16・5㎜)だ。HOゲージは、コンパクトなぶん、台数をコレクションすることができ、ジオラマもコンパクトに収まるので、近年は欧米でも主流になってきているようだ。このHOゲージの縮尺に合わせて作られたミニカーが、87分の1スケールのモデルだ。

 87分の1スケールになると、金属ではディテールが表現しにくいので、プラスチック製のモデルが主流になる。ヘルパ、ブレキナ、エコーなど、多くのブランドが存在しているが、いちばんの老舗は、ヴィーキングだろう。

 ヴィーキングについては、資料がなく、いつごろから存在していたのか不明だが、1960年代にはあった。そして、現在もしっかり存続している。ヴィーキングの最大の特徴は、いかにもドイツらしいシャープな造型だ。写真で見ても、これが全長わずか4㎝ほどのミニカーだとは、思えないだろう。

 プラスチック製なので、重量感に乏しいのが玉にキズだが、収納スペースが狭いコレクターには、ヴィーキングのコレクションがお勧めだ。ボクは基本的に、プラスチック製も、87分の1スケールも、集めていない。だが、それでも気に入ったモデルだけを買っているうちに、100台近くのヴィーキングがそろっていた。

 ちなみに80年代までは、ヴィーキングというブランドは、バイキングと呼ばれていた。WIKINGを英語読みしていたのだと思うが、その後は現地、つまりドイツ語の読み方に合わせようとなったらしい。

 そういえば、小スケールのSIKUも、昔はシクと呼ばれていたのが、最近はドイツ語読みのジクと呼ばれるようになった。

 しかし、フォルクスワーゲンは、ドイツ語読みだとフォルクスヴァーゲンとなるはずなのだが、実車の読み方は変更されていない。

 なぜ、ミニカーブランドだけが、現地語読みになったのか、調べてもよくわからないが、個人的には昔の「バイキング」という呼び方のほうが、しっくりくるのだ。

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