ここ何年か、1980年代の香港製小スケールミニカーがブームになっていて、インターネット・オークション市場でも、とんでもない高騰を演じている。ウィナーも、そのひとつだ。
チープなイメージの香港製小スケールミニカーの中で、ウィナーはオールダイカストの重厚感がある。品質的には香港製の中でも、頭ひとつ抜け出した存在だった。発売された車種は、トヨタ・セリカ・リフトバック、いすゞ117クーペ、三菱コルト・ギャランなど、日本車が多かったので、ボクもついつい買ってしまった。
ウィナーの唯一の欠点は、トミカのコピーである可能性が極めて高いことだ。もちろん完全なコピーではなく、トミカが別部品のメッキ・プラパーツで表現しているフロントグリルを無塗装のダイカストで表現したりと、ところどころを変えてはいる。だが、ホイールが同じ形だったり、そもそも車種選択がトミカと同じだったりと、コピーと判断されても仕方がない作りになっているのだ。
これは別の見方をすると、トミカに近い製造能力を持っていたメーカーともいえる。実際、製造から50年近く経つというのに、劣化がほとんど見られないところは、実に素晴らしい。それが近年の再評価にも結び付いているのだろう。最近、ヤフーオークションで落札されたウィナーのいすゞ117クーペは、1万2000円と、本家トミカを圧倒する落札額になっていた。
写真は、ウィナーのトヨタ・クラウン(1971年デビュー、4代目)だ。通称「クジラ・クラウン」は、ボクが免許をとったときに登場した新型で、あまりにも大胆な変身に驚くと同時に、気になって気になって仕方がないクルマだった。だから、トミカのクジラ・クラウンも大好きな1台なのだが、コピー作品であるはずのウィナーのミニカーも、なかなか捨てがたい味を持っている。カラーバリエーションは、写真の薄緑色のメタリック しかボクは所有していないが、他のカラーがあるのか、ないのか、よくわからない。ネットを検索してみたのだが、そもそもこのウィナーのモデルに関する情報がほとんど残されていないのだ。
トミカの陰に隠れてひっそり咲いた雑草のような存在だったので、大部分が子供のおもちゃとして扱われて、最後は捨てられてしまったので、いま生き残っているモデルは非常に少ないのではないだろうか。最近のネットオークションでの高値は、その希少性の表れかもしれない。